第四話:すべての始まり
第四話完成だよ♪
更新スピードが遅いのは気にしないでくれると嬉しいなぁ♪
チャンボ
「なぜこんなことが起きているか。事の始まりは、僕がまだ小さいころだったんだ。」
チャンボは少し声のトーンを落として語り始めた。
その頃、チャンボ星とアンモニウム星は同盟関係にあった。星の住人は、チャンボ星人と魔族という相容れないようなものであったが、チャンボ星の王――ジャンボの寛大なる心のおかげで、何とか仲良くしていた。
しかしある時、アンモニウム星の王――アンモニウム大魔王はガイア星を征服し、いずれは銀河を征服しないかと話を持ちかけてきた。
さすがのジャンボ王もそれには反対した。銀河征服などするものではない!、と。
この日以来、ジャンボ星とアンモニウム星の同盟は決裂した。
アンモニウム大魔王は単独で行動を起こしたが、チャンボ星の優秀な魔術師により、その策略はことごとく打ち壊された。
そんなある日。
ジャンボ王
「チャンボよ。お前もいずれはこの星を担うことになる。どんな時でも自分の想いを貫き通し、強き王となるのだぞ。」
チャンボ
「はい、父上!」
いつものようにジャンボ王がチャンボに力説している時、バタバタと大きな足音を立ててアレックスが駆け込んできた。
アレックス
「王!大変です!!アンモニウム大魔王が魔物の大群を引き連れて攻めてきました!!」
ジャンボ王
「とうとう来たか…。アレックス!急いで兵を集めろ!迎え撃つぞ!!」
アレックス
「はっ!」
アンモニウム大魔王は本当にすぐにやってきた。
魔物の数と攻撃はすさまじく、経験をつんだ魔術師も、屈強なドワーフも成す術なく次々とやられていった。
いくら抵抗しても全滅するのは時間の問題と思われた。
アレックス
「王!アンモニウム大魔王はもうすぐそこに迫っています!お逃げください!!」
ジャンボ王
「王たるものここで引くわけにはいかん。こうなったのも私の責任だ。最後まで戦わせてくれ!」
アレックス
「しかし……」
ジャンボ王
「お前はチャンボを連れて逃げろ!私はお前の力を信じている。チャンボを…頼んだぞ!」
アレックス
「………わかりました。ご武運を祈ります。」
ドンッ!ドドンッ!!
王の間の扉が破られようとしている。
ジャンボ王の言葉にアレックスはチャンボを連れて逃げようとする。
が、チャンボはアレックスの手を振り払った。
チャンボ
「父上だけを残してなんて嫌です!僕も戦いますっ!!」
チャンボはおもちゃの様なステッキを取り出して見せる。
ジャンボ王が誕生日に贈ったそれは、チャンボにとって大切な宝物であった。
ジャンボ王
「お前はまだ子供だ。戦うには早すぎる。」
チャンボ
「で、でも…!」
ジャンボ王
「私は、お前に生きていてほしいのだ。……私のすべてを、お前に託したぞ。」
チャンボ
「父上……」
チャンボはそれでも一緒に戦いたいと思ったが、アレックスに担ぎ上げられてしまう。
チャンボ
「は、離せアレックス!僕は父上と戦うんだぁっ!!」
アレックス
「……………」
必死にアレックスの手から逃れようとするが、アレックスはそれを許さない。
次第に遠くなっていく父の顔。常に尊敬し、憧れていた父の顔だ。
チャンボ
「父上ーーーーーっ!!!」
アレックスの腕の中で、チャンボは力の限り叫んだ。
嫌だ!嫌だ!嫌だ!こんなの嫌だ!!
ジャンボ王はとうざかっていく我が息子とアレックスに一瞥をくれた。
ジャンボ王
「チャンボ、アレックス。お前達は、私の大切な……」
ドッカーーン!!
王の間の扉が破られた!
現れたのは、全身真っ黒の身体に背中に悪魔の翼を生やした魔物――アンモニウム大魔王であった。
アンモニウム大魔王
「ガッハッハッ!感動のお別れは済んだかジャンボ?残るはお前ただ一人!捻り潰してくれるわぁ!」
アンモニウム大魔王は他の魔物を下がらせ、一歩前に出る。
ジャンボ王は王座の横においてある細長の剣を手に取った。
ジャンボ王
「いいだろう!勝負だアンモニウムよ!チャンボ血族に代々伝わる居合いにて、お前を倒す!!」
アンモニウム大魔王
「面白い!かかっ来るがいい!」
ジャンボ王
「斬る!!」
ジャンボ王は一歩踏み込んだ!
その瞬間ジャンボ王の姿は消え、アンモニウム大魔王に無数の裂傷が刻まれる。
間髪入れずに次々と裂傷が増えていき、アンモニウム大魔王の体は、ズタズタに切り刻まれた。
そのスピードはまさに電光石火。目視で確認するのは不可能だろう。
ジャンボ王
「これで決める!居合い流奥義、三の太刀!!」
ジャンボ王は剣を鞘に納めると、横なぎに剣を振りぬいた!
ジャンボ王
「一つ!」
一撃目。
アンモニウム大魔王の左腕が切り落とされる。
ジャンボ王
「二つ!!」
二撃目。
返す刀で右腕も飛ぶ。
ジャンボ王
「三つ!!!」
疾風一閃。アンモニウム大魔王の身体は真っ二つにされた。
アンモニウム大魔王
「ば、ばか、なぁ……」
ドサッ!
ジャンボ王の連撃にアンモニウム大魔王は成す術なく倒れこむ。
ジャンボ王
「終わった……」
これで倒したと思い、剣を鞘にしまおうとした、その時!
アンモニウム大魔王
「ガハ…ハハハハ…!ガッハッハッハ!面白い!面白いぞジャンボ!!」
ジャンボ王
「なっ!?私の居合いでも倒せないというのか!!?」
アンモニウム大魔王は生きていた。あれだけの攻撃を食らったのにもかかわらず、生きていたのだ。
アンモニウム大魔王は全身をどす黒いオーラに包まれ、その身体を再生させていた。
切り落としたはずの腕はすでに復活し、さらにその体は巨大化していく。
あっという間に今までの三倍近くある巨体へと変貌した。
アンモニウム大魔王
「死ねぇジャンボ!!デーモンスマッシャー!!」
巨大化したアンモニウム大魔王のこぶしが振り下ろされる。
動揺していたジャンボ王はその攻撃を避けることができなかった。
ジャンボ王
「ぐ、ぐはっ……!?」
床がひび割れ、巨大なクレーターができる。かろうじて意識は保っていたが、もはや動く気力は残されていなかった。
動けないジャンボ王にアンモニウム大魔王は再びこぶしを振り上げ、そして――
ジャンボ王
「チャンボよ…さらばだ………」
アンモニウム大魔王
「ガッハッハッハッハ!!ジャンボ王敗れたりぃ!!!!」
チャンボ
「こうして父上を倒したアンモニウム大魔王は、銀河征服を始めたんだ。」
アレックス
「あれから十年がたった。ジャンボ王が最後の力でアンモニウムに封印をかけてくれたおかげで、今日までまともに力を揮えなかったようだが、その封印もそろそろ限界だ。」
チャンボ
「僕は父上の死を絶対無駄にはしない。だから、アンモニウムを倒すために君の力が必要なんだ。」
チャンボは手に持っているステッキを握り締める。今となっては父上の形見の品だ。
最初はこんな奴に協力するのか…と憂鬱に思っていたアランだが、チャンボの過去を知った今、アランの心は動かされた。
アラン
「…あのエメラダとか言う女もそいつの仲間だな?」
チャンボ
「その通りだよ。君の国の王と姫をさらったのは、死霊使いのエメラダ。アンモニウム大魔王幹部の一人さ。」
アラン
「ならば断る理由などない。王とチャキーをさらったあいつには制裁を加えてやらんとな!
…それに、こんな酔っ払い馬鹿だけでは安心できんからな。」
アランは挑発するようにアレックスを見る。
アレックスは顔を真っ赤にして反論した。
アレックス
「よ、酔っ払い馬鹿だとぉ!?アラン、テメェ!!ぶっ飛ばされてぇのか!!?」
アラン
「またやる気か?いいだろう。結果は目に見えている。」
チャンボ
「はっはっは!愉快愉快♪楽しい旅になりそうだね♪」
こうしてすべての星を巻き込んだ戦いの旅が始まった。
その頃、アンモニウム星では。
チャキー
「アラン。あなたに会いたいわ…。」
薄暗い牢の中にチャキー姫の姿。ランド王の姿はない。
監視員
「おーい、ガラン!交代の時間だ!」
ガラン
「わあってるよ!」
今まで牢獄の傍にいた魔物に代わり、ガランと呼ばれた魔物が階段を下りてくる。
魔物にしては珍しく、その容姿は人に似ていた。
チャキー
「あなたはガランと言うの?魔物の中にもあなたのような人間と変わりない外見の方もいるのね。」
ガラン
「まあ、俺は珍しいほうだけどな。
それにしても、アンモニウム大魔王のやり方は本当に卑劣だ。いつか絶対逃げ出してやる!」
アンモニウム星に裏切りのタネが一つ。
彼もまた、戦士となる。
と言うわけで、今回は僕の過去のお話でしたぁ♪
アラン
「そんなに嬉しそうにいうことか?悲しい過去だというのに…。」
僕は前向きな性格だからねっ。父上のためにも強く生きなくちゃね♪
次回はいよいよガイア星に出発だよ。
お楽しみに~♪