第三話:チャンボ星
第三話完成だよっ♪
やっと僕の登場だっ♪
???
「アラン、起きて。いつまで寝ているの?」
アラン
「……チャキー……?」
アランはゆっくりと目を開けた。
チャキーの声が聞こえた気がしたが、目に移るのはチャキーではなく、無意識のうちに伸ばされた自分の手。
そうだ…チャキーは、あのエメラダとか言う女に……
アランは拳を握り締める。己の無力さを実感した。
そんな時、アランの前に一人の男が現れた。
???
「目が覚めたようですね、アラン様。」
黒のローブを纏ったその人物は、落ち着いた声でアランに話しかけた。
それに対しアランは、
アラン
「お前は、あの時の。いったい何者だ!?お前もあのエメラダとか言う女の仲間なのか!?」
激しい口調で返すアラン。
エメラダが消えた直後この男に会い、そして意識を失って気がつけばまったく知らない場所にいた。
今のアランにこの男をすぐさま信用するということはできなかった。
使者
「残念ですが違います。私はこの星の王子――チャンボの命によりあなたをここにお連れした使者です。
何の説明もせず申し訳ありませんでした。が、あの時は緊急だったもので。」
使者は頭を下げて謝罪した。
アランはいまだに疑わしげな表情を浮かべていたが、とりあえず使者の話を信じることにした。
アラン
「そうだったのか、それはすまなかった。
…ところで、ここはどこなんだ?」
使者
「ここはチャンボ星の町外れです。あなたのいたガイア星とはまったく別の星です。」
アラン
「チャンボ星!?噂には聞いていたが、まさか本当に実在するとは……」
アランは驚きを隠せなかった。
確かに昔の文献などにそういう記述があったのを目にしたことはあったが、まさかガイア星の他にも星があるとは思わなかった。
アラン
「しかし、惑星間を移動するなんてこと、そんな簡単にできるのか?」
使者
「チャンボ星には優秀な魔術師がたくさんいますから、惑星間移動はたやすいことなのです。
…さて、王子があなたに会いたがっています。ついてきていただけますか?」
アランは“魔術師”という聞きなれない単語に首を傾げるが、とりあえず今は自分を呼んだ“王子”とやらに会ってみようと思い、使者についていくことにした。
チャンボ星の人々は、なんと言うか……とにかく“ド派手”だった。
ただいま王子がいるというチャンボ城に向かっている最中の町の中である。
ナイトランドの城下町と同じく、活気があり賑やかであったが、アランはその“服装”がとにかく気になった。
行きかう人々は、皆赤や黄色などとてもカラフルな服を身にまとい、その形も通常のものとかけ離れたものが多かった。
そのせいか町の喧騒は一段とうるさく聞こえた。
しばらく町の中を進み、巨大な城が見えてきた頃、
使者
「アラン様。あれがチャンボ城です。私は少し用がありますので、ここからはお一人でお進みください。
あなたがこの星に来たことは城の者はすでに知っているはずですので、名乗っていただければ案内してくれると思います。
では。」
使者はそう言って去って言った。
アランは城へと向かって歩を進めるのだった。
しばらく歩くと城門が見えてきた。
大きな木製の扉の前には、門番と思わしき男の姿。
あごに無精ひげを生やし、小柄だががっちりとした体格の男が扉の横にもたれていた。
その横には、男の身長に似合わない、二メートル以上はあろうかという大斧が置いてあった。
その男はアランに気づくと、立ち上がって言う。
???
「なんだぁ、テメェ。見慣れねぇ顔だな。まさか!テメェ侵入者だな!?!?
正面から来るたぁいい度胸だ!ぶっ飛ばしてやる!!」
男はそう言うと殴りかかってきた。
アランは突然の攻撃に驚くが、瞬時に避ける。
アラン
「お、お前!いきなり何をする!!?我が名は……」
???
「ガタガタ言ってんじゃねぇ!!」
今度は大斧を手に取り、振り回してくる。
アランは避けるが、風圧がすさまじく後ろに倒れてしまった。
アレックス
「俺様の名はアレックス!この城の門番だ!そしてこの斧は無月!俺様の相棒よぉ。」
アラン
「斧に名前をつけているのか!?」
アランは動揺を隠せない。しかしアランは、アレックスと名乗る男の顔が、真っ赤になっているのに気がついた。
アランは立ち上がると、腰に挿している二本のトマホークを抜き、戦闘体制に入る。
アラン
「やれやれ仕方がない。お前のような馬鹿には身体で気づかせないとダメみたいだな!」
アレックス
「ば、馬鹿だとぉ!?テメェよくも俺様を!!」
アランのダブルトマホークとアレックスの大斧が激しくぶつかり合う。
アレックスの馬鹿力にはさすがのアランも勝てず、後ろに吹き飛ばされてしまったが、アランはきれいに着地し、ダメージを受けた様子はない。
アラン
「力だけはあるな。だが、力だけでは我には勝てない。我が奥義を見せてやろう!!」
アランはヘルムを閉じ、一気に走り出した!そして、アレックスの目の前で高くジャンプする。
アレックスは上を見るが、太陽が重なってアランの姿が一瞬消える。
と、次の瞬間!
アラン
「十文字斬り!!!」
アレックス
「な、何!!?」
アランはいつの間にかアレックスの背後に回り、十文字の斬撃を繰り出していた。
アレックスは寸でのところでその攻撃を斧で防ぐが、斧にはくっきりと十文字の痕がついていた。
アレックス
「俺様の無月に傷をつけたのはテメェが初めてだ!なかなかやるみてぇだな!!」
アラン
「お前もやるな。我が奥義を防ぐとは。」
アランの攻撃はまさに閃光の如き速さ。並の反射神経では絶対によけられない。
アレックス
「俺様の実力はまだまだこんなもんじゃねぇぞ!!くらいな!奥義……」
アレックスは大斧を振り上げた。しかし、その次の動作に進まない。
不思議に思っていると……
ドサッ!
アレックスはその場に倒れてしまった。
大きないびきをかいていることから、どうやら眠ってしまったらしい。
アラン
「まったく、酔っ払いとは怖いものだな。さて、行くか。」
アランはアレックスをその場に残し、城の中へと入っていった。
城の中はかなり広く、ナイトランド城よりも大きかった。
どこかに人はいないかと探していると、後ろから声が聞こえた。
振り返ると、アレックスが走っている姿を確認できた。
アレックス
「さっきは悪かったな。お前がアランだとは思わなくてよぉ!
チャンボ王子は王座の間にいる。行くぞ!」
アランは内心、なぜお前に命令されなければならない!?と思ったが、城の中のことはまったく知らなかったので、おとなしくついていくことにした。
王座の間はとにかく豪華だった。
そこらじゅうに装飾が施され、キラキラと輝いている。
アレックス
「チャンボ王子。アランを連れてまいりました。」
アレックスがそういうと、姿を隠すためだろうか?赤い幕の中から王子が現れた。
パンプキンズボンをはき、足のかかとをぴったりとくっつけ、足を九十度に開いた状態で、ぴょんぴょんと階段を下りてきた。その手にはおもちゃのようなステッキが握られている。
チャンボ
「やあ♪僕がチャンボ星の王子チャンボだっ♪よろしくねっ!」
アラン
「こ、こいつが王子!?!?」
この服装がなければ、いまだにあどけなさの残る少年という見かたもできたが、こんな人物が王子だなんて信じられなかった。…いや、信じたくなかった。
チャンボ
「君にこの星にきてもらった理由はただ一つだっ♪僕と一緒にこの星を…ううん、この銀河を守ってほしい。」
アランは何がなんだかさっぱりだった。
銀河を守れ?どういうことだ?
首をかしげているアランに、チャンボはこれまでの出来事や経緯を話し出すのだった。
今回はアランがチャンボ星に来た話でしたぁ♪
アラン
「あんな奴が王子だなんて………信じられない…。」
まあまあそう言わずに♪元気出してよっ。
次回は僕の過去が明らかになるよ。お楽しみに♪