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第十一話:思いがけないプレゼント

第十一話完成だよっ!


エルフの里までの道のりは長いねぇ

アラン

「――おい、後どれくらいだ?」


チャンボ

「あと少しだよっ。」


アラン

「……その台詞はもう聞き飽きた。」


フェストを出発してはや三日。

相変わらずピョンピョン跳ねながら進むチャンボを見て、アランは深いため息をついた。

遠いとはわかっているが、さすがに三日も経つとうんざりしてくる。

それに、照りつける太陽は身を焼くほどに暑い。このままではいずれ倒れてしまうのではなかろうか?


アレックス

「ガタガタうるせぇんだよ!!文句言ってねぇで足を動かせ!!」


アラン

「……さっきまで散々文句を言っていたのはどこの誰だ?」


アレックス

「うぐっ……う、うるせぇ!!!」


アランは再びため息をつく。

大体、徒歩で行くというのが間違っているのだ。馬の一頭でもいればどれほど楽か……

そんな様子が癪に障ったのか、アレックスが癇癪玉を破裂させそうになった、その時――


???

「おーい!!そこの三人!!」


パカッパカッ、という蹄の音とともに背後からよく通る声が響いた。

その声に振り向くと、遠くのほうから馬が三頭走ってくるのが見えた。

その内の一頭に乗っていた男はアラン達の傍まで来ると、馬を止めその背から飛び降りた。


???

「アランさんにアレックスさん、それにチャンボさんっスね?」


アラン

「ああ、そうだ。お前は?」


ゼブラ

「あっしはウルフさんの使いの者で、ゼブラって言うっス。」


ゼブラは歯を見せてニッと笑う。アランはそれに少し苦笑いを浮かべた。

なんというか…そのままだな……

ゼブラの服装は、黒と白の縞々尽くし。さらに乗っていた馬はただの馬ではなく、シマウマだった。


チャンボ

「それで、何か情報がつかめたのかなっ?」


ゼブラ

「いえ、それはまだっス。」


アレックス

「じゃあ何しに来たんだ?」


怪訝な表情のアレックスにゼブラはニッと笑うと、連れていた残りの二頭の馬を前に出した。


ゼブラ

「エルフの里までは遠いっスから、馬を用意したっス。どうぞ。」


そう言ってアランとアレックスに手綱を渡した。

思いがけないことに三人ともポカンとしている。


アラン

「……いいのか?」


ゼブラ

「もちろんっス!ぜひ使ってやってください!

何か情報がつかめたらお伝えするっス。じゃあ。」


ゼブラは最後に歯を出してニッと笑うと、愛馬であろうシマウマに乗って去っていった。


アラン

「…フッ、ウルフも気の利いたことをするな。これで一気に移動が楽になる。」


アレックス

「サンキューな!!ゼブラ!!」


すでに遠くにいるゼブラにアレックスは大声を上げながら手を振る。

その声が聞こえたのか、ゼブラは後ろ手に手を振り帰した。やがてその姿は地平線に消えて行った。


アラン

「……さて、ではアレックスには引き続き歩いてもらうとしよう。」


アレックス

「何!!?どういう意味だ!!?」


先程の大声以上の声で聞いて来るアレックスに、アランは耳を抑えながら言った。


アラン

「馬は二頭しかいない。誰か一人歩くしかないだろう?」


アレックス

「ならテメェが歩けばいいだろうが!!」


アラン

「なぜ我が歩かねばならないのだ。お前が適任だろう。」


アレックス

「なんだとオラァ!!!」


ギャアギャアとまたしても喧嘩が始まってしまった。

チャンボは最初は笑ってみていたが、やがてこれではいつまで経っても進めないということに気づいて、ポツリと呟いた。


チャンボ

「…いいよ、僕が歩くから。」


アレックス

「いいえ!!!王子を歩かせるわけには行きません!!!」


アラン

「そうだ!お前を歩かせるわけには――」


と、ここでアランは今更ながらあることに気づいた。


アラン

「…アレックスとチャンボが二人で乗ればいいのではないか?」


アレックス・チャンボ

「あっ……」


三人といっても、チャンボはまだ子供だし、アレックスもそんなチャンボと背丈はあまり変わらない。

ならば、二人で乗っても十分収まるのではないか。


アレックス

「そうかその手があったか!」


チャンボ

「ぜんぜん気がつかなかったよっ♪」


笑いあう二人を見て、アランも思わず笑みがこぼれる。


アラン

「さて、では出発するとしよう。」


三人は馬に乗り、走り出した。

歩きのときとは段違いのスピード。これならもうすぐつけるだろう。

聞き飽きていたチャンボの言葉に現実味が帯びてきた。






その頃、アンモニウム星では――


大魔王

「首尾はどうだ?エメラダ。」


エメラダ

「万事順調ですわ。」


アンモニウム星の本拠地であるアンモニウム城の王座の間にて、アンモニウム大魔王と幹部四天王の一人――死霊使いのエメラダ、そして黒いマントを纏った男が話していた。


エメラダ

「アランも軽くあしらえる程度、チャンボにいたっては剣を交えることすらしていない。父親とは大違いですわ。」


大魔王

「クククッ、そうか。だが、油断はするなよ。腐ってもあいつはジャンボの息子だ。」


エメラダ

「承知しております。」


そう言いながらもエメラダはにやりと笑っていた。

私があんな奴に負けるなんてありえない、と。


大魔王

「引き続きガイア星の侵略を続けろ。チャンボ城を攻め落とすにはチャンボがいない今が絶好のチャンス。奴らをガイア星に引き止めるのだ。」


エメラダ

「わかりました。では。」


エメラダは黒い霧に包まれ、やがて姿を消した。


大魔王

「……どうしたランス。貴様もエメラダと共に行け。

それとも――」


ランス

「わかってる。ちょっと考え事してただけだ。」


ランスはそう言うと、大魔王に背を向け、スッと右手を挙げた。

すると、エメラダと同じように黒い霧が出現した。


ランス

「兄さんは、僕が必ず――」


ランスは最後に呟くと、黒い霧の中に姿を消した。

なんと、ウルフから馬をプレゼントされたよっ♪


アラン

「どうせなら三頭送ってくれればいいのにな。」


そこは気にしちゃダメだよっ!乗れたんだからいいじゃないかっ♪


アラン

「それもそうか……」



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