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第十話:踊り子の少女との出会い

第十話完成だよっ♪


アランにはちょっと迷惑な話かもねっ♪

アラン

「それで?いつ出発するんだ?」


朝。宿の食堂で朝食を食べながら、アランは二人に問いかけた。

…最も、アレックスは食べるのに夢中で聞いていない様だが。


チャンボ

「できれば早めに出発したいなっ。まだ結構な距離があるしね♪」


朝食のパンを頬張りながら答えるチャンボ。

昨日も言っていたが、やはりまだかなりかかりそうだな。近道でもないものだろうか……

と、思案していたときだった。


???

「いいじゃねぇか!一緒に遊ぼうぜ?」


???

「い、嫌です!」


突如食堂に響いた声。その声にアランやチャンボだけでなく、他の客達も視線を向ける。

そこには、なにやら見覚えのある三人組と、華やかな衣装に身を包んだ踊り子が言い争っていた。

いや、三人組のほうが強引に連れて行こうとしているのだ。


アラン

「やれやれ。朝っぱらからナンパか?」


アランはそういいながら立ち上がり、その三人組のもとへと向かう。

そして、三人組のうちの一人の肩を叩き――


アラン

「おい。」


???

「なんだて…めぇ……」


振り返りざまに怒鳴り付けようとしたようだが、アランの騎士姿を見て押し黙る。

顔が見る見るうちに青くなっていくのがわかる。


アラン

「やれやれ誰かと思えば、あの三兄弟じゃないか。こんな場所で会うとはな。」


バル

「テメェはアラン…。なぜここに!?」


ベル

「あ、兄貴、ヤバイですぜ!」


ドル

「ここは逃げるんだなぁ!」


覚えているだろうか?物語の始まりにナイトランド国で悪事を働いていたギルド所属の三人組だ。

アレックスの大切な大斧――無月を盗んだのも彼らである。ちなみにこれはギルドのボス――ウルフの命令ではなく単独の行動であり、後にウルフに大目玉を食らったのはまた別の話。

逃げ腰のベル、ドルに対して、バルだけは向かってきた。足を震わせ、かなり情けない格好ではあったが。


バル

「そ、そう簡単に引き下がって堪るか!あの時の恨み晴らしてやる!!」


アラン

「そうか。なら――」


そう言って腰に挿しているトマホークを抜き――


アラン

「――もう一度制裁を加えなければな。」


バル

「ぐっ……お、覚えてやがれ!!」


そんな台詞を吐いて、バルは店から出て行った。それを見てあとの二人も慌ててついていく。

フッ、他愛もない。


アラン

「さて、大丈夫ですか?」


踊り子

「素敵……」


アラン

「え?」


振り返って無事を聞こうとしたアランの言葉など聴いていないかのようにポツリとそう呟いた。

その顔は赤く紅潮し、目はアランを見つめてボーっとしている。

が、やがてハッ、と我に返ると、慌てて立ち上がった。


踊り子

「あ、あのっ!た、助けてくれてありがとう!勇者様!!」


アラン

「ゆ、勇者って……」


ニーナ

「あたしニーナって言います!勇者様のお名前は!!?」


ずんずん近づいてくるニーナにアランは思わず後ずさる。

近い!顔が近い!!


アラン

「わ、我はナイトランド国騎士団長アランだ。

ああいう連中にはこれからは、気をつけるように。ではな。」


ニーナ

「あ、待って!!」


アラン

「!!?」


ニーナは立ち去ろうとするアランの手に抱きついた。


アラン

「な、何を!?」


ニーナ

「一目で好きになっちゃったの。お願い、あたしを連れてって。」


アラン

「断る!そしてくっつくな!」


ニーナ

「あぁ~、アラン様~!」


アラン

「は~な~れ~ろ~!!」


アランは振りほどこうとするが、ニーナはしっかりと抱きついており一向に離れようとしない。

仕方がないので、そのままチャンボとアレックスのいるテーブルに戻る。


アレックス

「お?助けに行ったと思ったら、女も連れてきたのか?」


チャンボ

「アランも大胆だねぇ♪」


アラン

「……言っておくが、こいつは勝手についてきたんだ。我は迷惑している。」


ニーナ

「え~!あたしがいちゃ迷惑?」


アラン

「大いに迷惑だ!我は責務に則ってならず者を追い払っただけだ。それで付きまとわれては敵わん。」


ニーナ

「もぅ、照れちゃって♪」


アラン

「なぜそうなる!!?」


激しい舌戦(?)を繰り広げるアランと踊り子ニーナ。

その様子を見て、アレックスはニヤニヤした顔で、チャンボはハハッ、と軽く笑った。


アレックス

「ほぅ、そうかそうか。わかった。」


アラン

「そこっ!誤認識するな!!」


ウンウンと頷くアレックスを見て、アランは顔を真っ赤にして反論する。

だが、それが逆効果だったらしい。


アレックス

「照れるな照れるな!ホントは嬉しいんだろ?」


アラン

「違うわ!!人をからかうのもいい加減にしろ!!」


チャンボ

「ははっ♪愉快愉快♪」


笑う二人に顔をさらに赤くして怒鳴るアラン。そして、アランにべったりのニーナ。

他の客の迷惑も考えず大声で怒鳴り散らしていたため、すぐに宿屋の主人に怒られたのは言うまでもない。






アラン

「……いつまでついてくる気だ?」


不機嫌度がいつもの三割り増しぐらいの表情で睨みつける先には、先程出てきた宿で出会った踊り子――ニーナの姿。

宿での騒動のせいで考えていた出発時刻より遅れてしまったので、今のアランは少々ご機嫌斜めだ。

アレックスとチャンボは、アランとニーナが並んで歩く少し後ろで、クスクスとひそかに笑っている。


ニーナ

「そんなに睨まないでよぉ~。あたしは人間だし、アラン様の旅に同行しても迷惑になるのはわかってる…。

だから、せめて見送りくらいはさせて?この目にアラン様の姿をしっかりと焼き付けたいの。」


潤んだ目、そして上目遣い。さらに縋る様な声で言ってくるものだからアランはタジタジになっている。

どうやらアランは、こういうタイプの女性は苦手なようだ。


アラン

「ま、まあ、見送りくらいならいいだろう。」


ニーナ

「…ありがとう。」


まるでドラマのお別れシーンのような場面を目の当たりにして、アレックスは笑いを堪えるのに必死だった。腹を両手で押さえ、目からは少し涙が出てきている。その場で転げまわって大笑いしそうな勢いだ。


ニーナ

「……着いたわ。」


そうこうしている内に街の出入り口に辿り着いた。

外は街の賑やかな雰囲気とは対照的に寒々しい荒野が広がっていた。


ニーナ

「またこの街による事があったら、そのときはあたし、絶対会いに行くからね!」


アラン

「……また会えるといいな。」


口ではそういいつつも、内心ではもう二度と会いたくないと思っている。

付きまとわれるのは苦手だ。


アラン

「では、行くとしよう。」


アレックス

「じゃあな!踊り子の姉ちゃん!」


チャンボ

「またねっ♪」


ニーナ

「さよなら~!」


ニーナに手を振られながら、アラン、チャンボ、アレックスの三人は、パレードの街――フェストを後にした。

アランもてもてだねぇ♪


アラン

「迷惑だといっている!

それに我には――」


ん〜?その先の言葉はなにかな〜♪


アラン

「う、うるさい!!」


はははっ♪ごめんごめん♪


では、次回もお楽しみにねっ♪

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