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3.調査



「昔、そこで夕暮れまであそんでいた子供たちが集団で神隠しに遭っているんだ…」



 オギ君の話によればこうだ。今から約150年前、明治時代初頭にその集落の子供が5人同時に消息を絶った事件に基づき地域一帯に神隠しの噂が広まったのだが、事件後長い歳月を経るうちにオカルト的な意味合いは風化していき、子供の夜遊びに対する訓戒的な側面が強くなっていったのだという。


「早速なんだけど今日の夕暮れ時に神隠しについて調査しに行こう」


 オギ君からの突然の提案に私はたじろぐ。


「事件は本当に起こったんだよね?……もし、私たちが本当に神隠しに遭ったらどうするの?」


 私はオカ研に入っているとは言え、心霊系がすこぶる得意というわけではない。語り継がれる物語としてのオカルトが好きなのであって、いざ身の回りにそういう場所があり、実際に赴くとなるとしり込みしてしまう。


 そんな私の様子を察してオギ君は私にこう告げる。


「期限的にも今日調査しないと間に合わなくなるから、ハルちゃんが行けなそうなら俺一人で行ってくるよ」


「その代わり、レポートの作成途中までお願いできる?」


 少しの逡巡の後、私はオギ君からの提案に乗ることにして彼との間に一つの約束を取り決めた。内容は「私が30分ごとにメッセージを送り、問題がなければスタンプを返信する」というものだ。神隠しの噂が流れた現地に向かう彼の身を案じてのことだった。


「それじゃあ、住宅街の人たちに話を聞いて、その後事件当時からあった彌伏みふく神社を見たら帰ってくるよ」


 オギ君はそれだけ言って部室を出て行った。




   ◇




 ……おかしい、さっきまでメッセージを送れば遅くとも数分で無事を知らせるスタンプが返ってきていたのだが、もう前にメッセージを送信してから30分が経とうとしている。住宅街での聞き取り調査が済んだから彌伏神社に向かうとの連絡を最後にオギ君からの返信がないのだ。


 並々ならぬ不安を覚えた私は彼が調査に夢中でメッセージの存在を忘れている可能性にかけてもう1度「返信ないけど大丈夫?」と送ってみたが待てども待てども返事は来ない。ふと部室の壁を見上げると時計の針は18時を示していた、あと1時間もしないうちに日は完全に落ちるだろう。私が急いで探しに行こうと席を立ったその瞬間。



「ピロンッ」



 机の上に置いてあるスマホが音を立てて振動した。オギ君からの返信がやっと届いたことに安堵した私は彼とのトーク画面を開いてぞっとした。




「「螟峨↑蝣エ謇?縺ォ髢峨§霎シ繧√i繧後◆騾?£繧後↑縺」」




 一瞬のうちに私の全身が粟立つのがわかる。


 ひどい文字化けで何が書いてあるか全く理解できないが、オギ君の身に危険が迫っていることだけは明らかだった。どうにかして彼を助けに行けないか、驚きと恐怖でろくに働かない頭を無理やり動かして考えるが何もいい案が思い浮かばない…、そんな時だった。


 長机に広がる受理されなかった書類にまぎれた、学校の噂 『どんな依頼も必ず解決する事務所』 についての報告書が目に飛び込んできたのは…。



初めてのWeb小説ということで拙作ではありますが、週1以上で投稿できればとと思っています。応援、感想、改善点等あればお伝えください。執筆に活かしていきたいと思います。

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