家庭内カースト最下位の私による最上位の神々(犬猫)への献身的モーニングルーティーン
ひだまりのねこ様主催『集まれエッセイ企画』参加作品です。
やぽ。
タイトルはこんなんですが、中身はただの親バカペット自慢なので、のんびりまったり読んでいただけたら幸いです。
多忙な日常にひと差しの癒しを感じていただけたなら何よりです。
ではでは、本編をどうぞ。
うにゃーん。
「……うーん」
うにゃ! うにゃ! うにゃにゃーーーんっ!!
「……今日も全力やな」
眠りから覚めると、今日もうちのにゃんこは元気にワタクシめを呼んでおられる。
てか、たぶんその御声で起こされた、きっと。
「……むにゃ、あと五分……」
とはいえ、眠気というものは釘バットで全力フルスイングで襲ってくるもので。それに抗うのは非力な私には到底無理な話で……。
ぶるにゃーーんっ!!
「……あのー、うるさいんですけど」
うにゃ! うぐるにゃ! うにゃにゃーーーんっ!!
「……はい、ただいま起きますゆえ」
隣の部屋のケージの中で上へ下への大移動。
三階建ての豪邸にお住まいのにゃんこ様は今日も一階から三階へ、三階から一階へと大ジャンプかましながら朝の挨拶をしてくださっております。
「……ねむねむ」
開かない目を擦りながらベッドから降りると、
わんっ!!
「……いや、私なんですが……」
くんくーん!!
なんか変な音がしたぞ!
と、わんこ様がお目覚めになります。
毎朝、私がベッドから降りる音を聞いてるはずなのに、なぜ貴方様はお怒りになりるのか。
で、すぐに私だと気付いて甘えた声を……やるな、こやつ。
そして自分の寝室を出て、リビングを通ってお二人の寝室へ。
「はい、おはよ~」
……。
……。
「……なんで顔見せると黙るねん」
あれだけ私にさっさと起きろと仰っていたはずなのに、いざ現れるとお二人とも『スン』な状態に。
なんでやねん。
うにゃーん。
「あーはいはい。おトイレねー」
そして、にゃんこ様は私の姿を確認するとお声をあげながらトイレへ。
その間に私はカーテンを開けたり、捨てるゴミをまとめたりしております。
そうして少しだけ目を離していると、
「……うん。なぜいつも隠れてする」
わんこ様がバレないようにお尻からマシュマロをひねり出しております。
私が目を離した隙にひねり出し、そして再びご自分のお口の中に。うん。これこそ究極のエコ。完全自給自足……
「って、食うでない!」
急いでわんこ様を確保。
マシュマロを回収。
うん、今日も見事なマシュマロ具合。
アイドルはマシュマロとかイチゴが出てくるんだもんね。うちのアイドルだから、これはマシュマロ。うん、今日も素敵な香りですね。
まさに完璧で究極の……究極完全体グレートモ……違うか。
「出たね~。良かったね~。偉いね~」
マシュマロを処分してわんこ様を存分に誉め称える。どや顔のわんこ様。今日も尊い。
うにゃーーーんっ!!
「うおっ!?」
そうこうしている内ににゃんこ様がおトイレから飛び出してくる。あ、うちのにゃんこ様のトイレは囲いになってて中に体ごと入って隠れてできる仕様になっております。
ドバーーッ!!
「……わーい。今日も猫砂いっぱい連れてきたね~」
で、出てくるときにわざとかってぐらいに猫砂も一緒に外に連れてきて、辺り一面猫砂だらけにするまでがにゃんこ様の朝イチおトイレルーティーン。
うにゃーん!!
「さっさと片付けろと申しておる」
にゃんこ様はおトイレに行くと必ず報告していただけるのです。
出してやったぞ。さっさと片付けろ、と。
「……すんません。先にゴミ捨てに行かせていただきます」
そろそろ捨てに行かないとヤバいのです。
貴女様の生み出された下々どもを僭越ながら私が捨てさせていただくので、いま生まれたばかりの者どもはそのままにしておいてやってくださいませ。
うにゃ! うにゃにゃ!!
ざっざっざっ。
「……いや、そこにはないから」
何もない床で砂かけ動作を決め込むにゃんこ様。
『くさーい! あるー! 早く片付けろよー!』と申しておられます。
「申し訳っ!!」
うにゃにゃーーっ!!
にゃんこ様の叫びを背中に受けながら玄関を飛び出しゴミ捨てへ。
「へい、ただいま~」
そうして、ものの数分で帰還。
ぐるにゃーーん!!
くんくんくんーん!!
「……いや、数年ぶりの再会か」
仕事で何時間家を空けようが、ゴミ捨てで数分間出ようが、いつでも魔王決戦から帰還したときのようなお出迎えを見せてくださるお二方。
「帰ってきたぜ~! ぐへへへへ~!!」
そんなお二方に応えて、こちらも全力でお二方を愛でに走る。
……。
……。
「……いや、引いてんじゃん」
どうやら私の応え方があまりにキモかったようで、お二人は再びスンに。
「はい、おまたせ~」
そこでようやくお二人をケージの外へ。
うにゃ、うにゃ、うにゃ。
「あー、はいはい。おはようございます。本日もご機嫌麗しゅう」
にゃんこ様はさっそく私の足にすりすり。本日もわたくしめにご褒美をありがとうございます。
そうしてしゃがむとすぐに、
きゃんっ!
「ぶほっ!!」
わんこ様が顔面に飛んでくるのです。
「はい、はい。おはようございます。申し訳ありませんが、顔面を舐め尽くすのはご遠慮いただけないでしょうか」
このときのわんこ様のパワーは腕相撲世界チャンピオンにも勝てる気がします。チワワだけど。
にゃんっ。
わんこ様に落ち着いていただいていると、にゃんこ様は窓際のキャットタワーへ。本日のお天気と外の警備状況のご確認をしてくださっております。いつもありがとうございます、ニャルソック様。
くんくんくんくんっ。
そして、落ち着いたわんこ様は部屋の中の安全確認を開始します。
お二人とも非常に危機管理意識が高くて助かっております。
「今やでっ」
その隙に私はわんこ様のトイレシート……もといマシュマロシートの交換と、にゃんこ様のおトイレの清掃を行います。
そして、お二人のお飲み物入れも綺麗にさせていただき、新しいお飲み物を入れて再装着。
お二人は常温の水しかお飲みにならないという、とても美容と健康に気を使ってらっしゃるお方々なのです。
私も見習いたいものです。あー、エナジードリンク美味い。
「さて、ではそろそろお食事に……」
うにゃん!
わふっ!?
「……まだ言いきってないんだが」
最近は「そろそろ……」と言っただけでお二人とも反応を示されるようになられました。
うにゃっ!
「ちょ、行くの速いて」
まだお二人のベッドメイキングをしている途中なのに、もうお二人ともお食事の袋が入っている棚の前に待機しておられます。
「はい。ただいま」
そうしてお二人のお食事をご用意させていただく。
「ちょっ! 待てい! つまみ食いすなっ!
あげるから! あげるからっ!!
量、計ってるから! 分かんなくなるから!
ハッ! まさかその作戦かっ!?」
そんな攻防を繰り広げて、お二人のお食事タイム。
その間に私は仕事に向かう準備をします。
うにゃっ!
「うおっ! もう食い終わったんかワレ!」
お食事を終えたにゃんこ様が洗面所にいる私のもとへ推参。稼働中の洗濯機に飛び乗る。
どうやらこのガタガタブルブルがお気に入りのようです。
一度、そのお御足でスイッチをお切りになられたことがあってから、スイッチパネル部分に手作りのカバーが装着されております。
ハッハッハッハッ!
ちなみにわんこ様は私の足元で二本足で華麗なステップを披露しておられます。
「ええい! 邪魔するでない! 手元が狂う!」
うにゃ! うにゃ! うにゃにゃ!
「猫じゃらしちゃうわ!」
くんくーん!!
「違うから! これはオモチャじゃないから! そいつだけズルいぞ~じゃないから!」
「……ふう」
そんな激戦をくぐり抜け、無事に朝の支度と洗濯とお二人の食器洗いを完了。
ちなみに洗濯ネットは破かれてもう何代目かしら……。
さて、仕事に行くまでまだ少し時間がある。
そうなると、
わふっ!
「あ、はい。かしこまりました」
わんこ様から跪けとお達しがあったので、カーペットに座って土下座ポーズに。
ぴょんっ!
「おふっ」
その背中に華麗なジャンプでお乗りになるわんこ様。
私の背中で好きなオモチャをがじがじするのがわんこ様のお気に入りです。
にゃーん。
「……この状態の我に遊べと?」
土下座ポーズで背中にわんこ様がいる私に、にゃんこ様は我輩とも遊べと申されます。
「へいっ。ほいっ。といっ」
にゃ! うにゃ! にゃっ!
そんなわけで、背中にわんこ様を乗せたまま、猫じゃらしでにゃんこ様とも遊ぶという修行を、お二人はいつも私に毎朝つけてくださいます。
おかげで正座してても足が痺れにくくなりました。
え? その代わりに足が太くなったんじゃないか? うるさいわ!!
「……あのー、すいません。わたくしそろそろお仕事に行かなければならないのですが……」
がじがじ。
にゃ! にゃ!
「……あのー、聞いてます?」
がじがじ。ぷっ。
「……さりげなくおならしないでくれます?」
うにゃ!
「ほっ」
ここでようやくにゃんこ様が満足して再びキャットタワーへ。
「はい。あーたも降りて」
不服そうなわんこ様に優しく背中からお降りいただく。
「……じゃー、そろそろ……」
にゃん!?
わふっ!?
「……あ、はい。そうです」
そろそろ中に入る? と言いきる前にお二人は冷蔵庫の前へ。
ご自宅に入るとおやつが献上されるとご存知のようです。
冷蔵庫を開け、おやつを取り出す。
本日はわんこ様もにゃんこ様もお召し上がりいただける減塩犬猫用鰹節でござい。
にゃん。
「いや、だから行くの早いて」
一足先に閉じてあるご自宅の前へ。
うにゃん。
早く開けろと。んで、早く寄越せと仰せです。
「へい、ただいま」
お二人のお部屋の扉を開けると、お二人とも滑り込むように中へ。
「偉いね~。ほーれ。鰹節さんだぞ~い。うえーい。やったー。おいしいやつやー。ひゃっほーい」
……。
……。
「ちょっとはこっちのテンションに合わせてくれてもよくない!?」
私がテンションあげると、途端にスンなお二人。
うん。じつに美味しそうに食べてらっしゃる。
「んじゃらば、いってくるで」
くんくーん!!
私が出掛けると分かると、再び華麗なステップで踊り出すわんこ様。
うにゃん?
にゃんこ様の方はよく分かっておられないようで、首をかしげてこちらを見つめてきます。
へっへっへっ。
ケージの縁に手をかけて引き止めるわんこ様。
うにゃーん?
首をかしげたまま、ごろんとひっくり返ってお腹見せてくるにゃんこ様。
「……っ」
ダメだ。行くんだ。仕事に行くんだ。また駅までダッシュになるぞ。
くーん……。
うにゃん?
「……ちくしょー!」
そうして、私は今日もまたお二人を再度ナデナデさせていただき、案の定、駅まで全力ダッシュすることになるのでした。
毎日がわんこにゃんこ大戦争ではありますが、お二人にお仕えする喜びを胸に日々を懸命に生き抜いているとも言えるのです。
お二人の健康で元気な生活のために、私は今日も社畜になるのです。
家庭内カースト最下位?
最高の誉め言葉でございます。