プロローグ
『自宅警備員』
それは全ての人間が羨む職業である
中には職業じゃないと発言する愚か者もいるのは事実だが、それは間違いだと断言出来る。
何故かって?それは言わなくても分かるだろう。
しかしながら、それでも分からないと言う愚か者も存在する。
だから分かりやすく今一度説明しようと思う。
面倒臭いけど。
ニートは基本、自宅から出ない。
いや、正確には自室から出ないと言えば正確だ。
つまり24時間自宅に存在すると言う事。
現在の世の中、色々な事件が多発しているのは皆も知るところだろう。
外に出れば、事故の可能性も少なからず発生する。
それだけではない。何かしらの事件に巻き込まれる可能性すらある。
そして少しの間でも外の世界に出ていると、自宅が無防備になるのも問題だ。
最近では空き巣などの被害に遭う家も多く確認されているのも事実。
だからこそ、俺はその可能性を無くす為に体を張って自宅警備をしているのだ。
褒められて当然の職業をしているのにも関わらず、それを世間の愚か者達は理解を示さない。
それどころか、ゴミを見るかの様な視線を向けながら『ニート』と吐き捨てる。
そんな世界は俺が本来居るべき世界ではない。
俺に相応しい世界が何処かに存在している筈だと心の中で夢見ていた。
そしてその夢は眩い光と魔法陣と共に唐突に訪れたのだった。