第一話 『二本が一本になった日』
『那由多の「才能」』、第一話です。
あと少しで、説明、導入編が終わります。
拙い文章ですが、これから、どうかお付き合い頂けたらと思います。
ーそれでは、少し遅くなってしまったけれど、本題ー僕がこの状況になってしまった経緯ーを話そうと思う。
先の話でも言った通り、僕はただの高校生だったんだ。
「それ」が起こったのは、、僕が学校で放課後の補修を受け、家へと帰る、帰り道でのことだった(僕は頭が良いわけでは無い)。
いつもの人気のない道を通る。
今日の晩御飯はなんだろう、そんなことを考えていた時。
ー突然だった。
ー「そいつ」が空から、隕石みたいに落ちてきたのは。
…これもまた、先の話で言ったことだけど、僕は少し前、つまり、「そいつ」に説明されるまでは、この世界で起きていることを、ほとんど知らなかったんだ。
だから、こんなこと予測できないしー信じられない。
ー爆音がする。
ー土埃の匂いがする。
ーそして、目の前に大きな影が見える…。
もし、この場にいるのが、「状況を把握、適切な対処ができる人」だったなら、きっと、スマートフォンでSOSをかけるなり、全力で逃げるなりできたのだろう。
しかし、僕は「ただの高校生」。腰を抜かすことしかできなかった。
「…っぁっ」
声にならない声が出る。
土埃の中から、こちらに歩いてきた「そいつ」は、僕を見るなり、
「…ちっ こいつでするのかよ…」
と、言った。そして、
「まぁ時間もないし、いねぇよりかはマシか」
首筋に激痛が走り、視界が暗転した…。
気付けば僕は、倉庫と見受けられる場所に寝かされていた。
どうやら気絶させられ、連れてこられたようだ。
(…ここはどこだ?あいつはなんなんだ?いや、それよりも…
それは、一番の疑問。
ー何故、僕を殺さなかったんだ?)
先刻、僕の見た「そいつ」は、ー土埃でよく見えなかったがー返り血と思われる鮮血により、身体が真紅に染まっていた。
そこから考えられるに、だいぶ、やったのだろう…
様々な疑問が浮かぶが、だいぶ意識がはっきりしてきたようだ。
(早く…早く逃げないと)
ー身体を起こす。
しかし。
(…あれ?)
こけた。
もう一度
起こしてみる。
ーやはりこける。
(なんで)
(僕はどうしたのだろう…)
身体を見る。
そして…
「…あ…
ー気づいたのは、足元を見た時だ。
あぁ…
ー床は真紅に染まっていた。
ぁあぁああぁぁぁッッ!!!!」
ー僕の、2本あるはずの足が、無かった。
押し寄せる激痛。
苦しみに悶えていると、奥から声がしてきた。
「やぁーっと起きたかァ」
涙に滲む眼を、必死に上に向けてみる。
「よぉ」
ー「そいつ」が、いた。
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それでは、次の話で、お会いしましょう。