鏡に映るお前は誰だ
そいつは急に、現れた。
部屋の隅っこに、そいつが現れた。
「お前誰だよ?」
おそるおそる、そいつに手を伸ばしてみる。そいつは固くて冷たい奴で…気持ち悪い。
「お前…誰なんだよ!名乗れよ!」
俺が声をあげながら聴くと、眉間にシワを寄せ、戦闘態勢に入る。
「なんだお前、俺とやる気か!?」
俺がそう聴いても、そいつはなにも言ってこない。けど、どうやら俺とやる気なのか、俺がそう聴くと、さらに眉間にシワを寄せ睨み付けた。
「そうかよ…やってやんよ。来いよ!」
俺が威嚇すると、そいつの人相がさらに悪くなっていった。
「なめんなよ!!」
俺はとうとうそいつにキツイパンチをやった。
だが、そいつは俺のパンチを手で跳ね返した。
「チッ!やるな!」
俺はもう一度そいつにパンチをかました。だがそいつはそれを分かっていたかのように、また手でパンチを跳ね返した。
「なんだコイツ…俺の動きを読んでるのか?」
俺は強烈な連続パンチをそいつにかました。だがそいつはそのパンチ全てを手で返したのだ!
だんだん、俺は気味が悪くなってくる。
「な…なんなんだよお前は。なんで俺の動きが読める?」
そう、そいつに聴いても言葉は返さない。
そいつは俺に恐怖を与えているのに、何故か怯えた顔をして俺を睨んでいた………
「かわいいねこちゃんね~。鏡の中の自分とケンカしちゃって」
「今日初めて鏡を見せるのよ~」
「鏡に映る自分が敵とか思っちゃってるのかしら~?」
「ねー。かわいいわね~」