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なろうラジオ大賞3

全人類が時間停止能力を有した時計を所持する世界

掲載日:2021/12/14

 ある日、突然の贈り物。

 時間停止ができる時計。

 全ての人類に贈られる。

 同時に全員が使い方を理解した。




「へっへっへ……女子更衣室を覗き放題だぁ」


 令和の時代になっても考えることは同じである。

 とある変態が時間を止めて忍びこもうとした。


 だが……。


「あっ……あれ? 誰もいない?」


 時間停止には時間停止を。

 こうなることを見通して、女の子たちは時間を停止して服を着替えていたのだ。


「はい逮捕ー!」

「え? え?」

「時計は没収です!」

「そんなぁ!」


 張り込んでいた警察にあえなく逮捕された覗き魔。

 世間ではこんなことが頻発していた。




「早く起きなさーい!」

「あと五分……」


 時間停止が容易になったこの世界で、人々は時間を自由に使えるようになった。


「ふぅ……時間停止ぽちっとな」


 彼女は時間を止め、服を着替え、朝食を食べ、ゆっくりと歩いて学校へ。


「席について、時間停止解除……と」

「出席とるぞー」


 教師が言うと、一瞬で生徒たちが席に現れる。


「今日も遅刻ゼロだな」


 当然と言えば当然である。

 みんながみんな時間を止められるのだから。


 この能力は仕事でも重宝され、円滑に仕事が進められる。

 だが……。




「時間の停止のし過ぎで、早老症の問題が深刻化しています」


 時間を停止しても、老化は進む。

 止めた時間は戻らない。


 人々は普通よりも早く老けるようになった。

 そして……。




「ぱぱぁ、ままぁ」

「はいはい、なんだい?」

「いいこだねぇ」


 老人が子供の世話をするようになる。

 よぼよぼの年寄りにしか見えないが、二人はまだ40代である。


 全世界でこのような現象が起き、次々に老衰で人が死んでいく。

 気づけば幼い子供たちと、時計を没収された人だけが生き残る世界となった。




「ひゃっはー! 俺たちの時代だぁ!」


 時計を奪われた者たちは脱獄して好き勝手暴れ始めた。

 世界から秩序は失われ、混沌の時代が訪れる。




「ねぇ……この世界はどうなっちゃうの?」


 幼い子供が老人に尋ねる。


「どうにもならん。なるようにしかならないさ」

「みんないなくなっちゃった。

 まるで時間が止まったみたい」


 人がいなくなり、何もかもが奪われた街。

 しんと静まり返って音がしない。


「いいや、止まりなんてしないさ。

 俺たちが生きている限り、世界は動き続ける」

「そうなんだ!」

「さぁ、出発だ。今日の食い扶持を探さにゃならん」


 幼い子を助手席に乗せ、軽トラを走らせる老人。

 二人の時間は動き続けている。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに全員が同じ能力だと歳を取るのは速くなりますね。ナンセンスSFとして、よく練られていて楽しめました [一言] 犯罪者の他に時計を気にしない人も残るから、スローライフになるかも。その方が…
[良い点] 最後のオチがいいですね! 世紀末な世界を走り出す老人と子供のトラック、結構王道な気がします。 時計というのはラジオ大賞のキーワードの中でも題材として使いやすいと思いますが、それだけにどう使…
[一言] そしてこの後、バイクに乗ったモヒカンがヒャッハーするんですね、わかります。
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