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小さな恋心  作者: 華帆
2/14

2:再会

「うわぁ〜〜〜っ!やばっ!」

私の名前は、神崎由芽かんざきゆめ

中学一年生。

「もぉーっ!冬香ちゃんったら何で起こしてくれなかったのお!?」

「由芽の事なんかーいも起こしたっつうの!」

この子の名前は、沢野冬香さわのふゆか

私の一つ年上。

幼い頃に、冬香ちゃんの両親が亡くなってしまった。

私と冬香ちゃんは、仲が良かったから、私の家であずかる事になったんだ。

「由芽〜私もう行くからね!」

バタン

「ちょぉーっ!……ってもう八時じゃん!」

うざいぐらいに太陽の光が眩しい。

タンスから制服をだし、ボタンをしながら、冬香が作ってくれた朝ご飯のパンを口に押し込む。

お母さんは、朝早くから仕事だし、お父さんも仕事。

だから、朝ご飯はいつも冬香がつくる。

バックの中に教科書やらノートをつめて、バックを片手で持ち、階段を下る。

顔を大急ぎで洗い、洗面所から出て、ようやく玄関に行く。

「あー!そういえば今日英語の辞書必要なんだぁ…バックに入れてないし……!」

……。

まっ、いっか!

靴を適当に履き、急いで家を出た。

家から学校まで走って十分。

現在の時刻八時十五分。

朝休みは八時三十分に終わる。

間に合う!そう思った由芽は、体育祭で走った時よりもはやく走った。



ガラガラガラ!

時刻は八時二十六分!

間に合ったぁ!

「おはよぉー由芽!すぐ席についちゃいな!」

「あっ……おふぁ……よぉーっ……ま……ぃー…」

由芽は、必死に息をしながら席についた。

今の子は、吉田舞よしだまい

私の親友!

ガラガラ!

「おはようございます!日直!号令を!」

一年二組の担任の井上先生が入ってきた。歳は四十ぐらいの男性で、格好いいわけではない。

「起立!礼!着席」

日直の号令が終わると、先生は何故かコクコクとうなずいて、真剣な顔になった。

「えぇーっと……近頃、不審者がこの辺で出ているらしいので、皆さん気をつけてくださいねー」

「ハーイ」

みんな適当に返事をして、次の時間の英語の用意をした。

そういえば辞書……。

隣の席の佐藤雄麻さとうゆうま君は私が忘れ物をすると、いつもバカにしてくる。

バカだからしょうがないんだけど……。

だから佐藤君には借りたくないし、言いたくないなぁ……。

「よし!朝の会は終わり!日直号令!」

「起立!礼!着席!」

号令が終わったと同時に、みんな自由行動をとった。

朝の会が終わると、十分間の休憩時間に入る。

「やべー……美術の教科書忘れたぁ……」

廊下から聞き覚えのある声が聞こえた。

振り返ると、この前助けてくれた先輩だった。

お礼言ってこなきゃ……!

由芽は、椅子から立ち上がり、廊下まで来た。

「あ……のっ!」

大きい声を出して言ったら、廊下にいる人全員が振り向いた。

み……みんなの視線が痛い。

「この前、助けてもらった者ですっっっ!」

そう言うと先輩は、ああ。と言ってにっこり笑顔をつくってくれた。

「だっだから……そのぉー……ありがとうございましたっ!……ぇえとっ…それで、何かしてほしい事とかぁ……ありますか?」

途切れ途切れの言葉でそう言った。

「うーん……特にないけど。……あっ、美術の教科書かして♪」

「今……ですか?」

「うん♪」

由芽は、自分のバックに間違えて入れてしまった美術の教科書を先輩に渡し、ペコっとお辞儀した。

「ありがとう!またあとで教室に寄るね!」

二年生の教室は三階。

美術室は四階だからここまで来たんだろう。

「おー?良かったじゃん佑介ゆうすけ!」

と、いきなり女子の先輩が入ってきて、私の肩にポンと手をおいた。

「ありがとちゃん♪ところでさっき、オロオロしてたけど……なんかお困り?」

女子の先輩が綺麗で肩までつく高さの栗色の髪を触りながら、私に問い掛けてきた。

私の髪なんて、茶色がちょっと混ざった短い黒い髪の毛を二つに結んでいて地味なのに……羨ましい。

「あ……えっと、英語の辞書忘れちゃって……」

「あっ、そうなの?俺のかそうか?」

「えっ…でも……」

と、オロオロしている間に、先輩は辞書を取りに行ってしまった。

すると、さっきの女子の先輩が、肩に手をおいてきた。

「私の名前、伊藤凛いとうりんって言うの!貴方は?」

「私は、神崎由芽です。」

「そっかぁー!じゃあ由芽子〜ヨロシク☆」

「由芽子……?」

「ん?気に入らない?」

「いえ……」

そう言ってる間に先輩が戻って来た。

「どうぞ!じゃ、俺行くわ!凛も行くぞ!」

「ハーイ。またねー由芽子!」

「あ!はい!」

そう言って先輩は行ってしまったので、私も自分の席に戻った。

そしたら……。

佐藤雄麻がこっちをジロジロ見ている。

「なに?」

私が言うと、佐藤君はにーっと笑った。

「今の先輩、好きなの?」

と聞いてきた。

私は顔が真っ赤になるのを感じて、うつむいた。

「ふ〜〜〜〜ん」

と、佐藤君は言った。

「でも、あの先輩って伊藤先輩と付き合ってるんだぜ?」

────え?

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