13:救いの手
「どうして……雄麻が?」
凛は立ち上がり、自分より少し背の高い雄麻を見た。
「いや……神崎の事を追い掛けてたら……凛がいたからさ」
雄麻は、これまであったことをゆっくり話した。
凛は何度も頷き、最後はため息をもらした。
「やっぱり、好きなんだね……佑介の事」
凛は、雄麻に背をむけた。
凛の目には、校庭で野球ボールを拾う姿や、サーブミスして注意されているテニス部の子がうつっていた。
しばらく二人は黙っていた。
その沈黙をやぶるように、凛は振り返り、作り笑いを浮かべた。
「よしっ!帰るぞ!雄麻!」
雄麻の背中を軽く叩いて、凛は歩きだした。
雄麻は、凛の淋しそうな背中に、何もする事ができないのだろうか、と、心の中で何度も、自問自答を繰り返していた。
雄麻は、凛の肩に手を置き、小さな声でありがとう、と、呟いた。
凛は、振り返り、何が?と首を傾げた。
「俺に、告白できるように新垣先輩の事を引き止めてくれたし……俺を、勇気づけてくれたから」
雄麻はほほ笑み、凛も自然とほほえんだ。
「ハァ…………ハァ」
ここはどこだろうと思いつつ、私は、呼吸を整えた。
無意識に走っていた為、ここがどこなのかわからなくなっていた。
あまり、人通りの少ない道路で、ボロボロの家や、荒らされたのかよくわからない公園しかなかった。
こんな場所来たことがなく、どうしようもない気持ちになった。
携帯は家にある。
連絡するための手段がない。
仕方なく、荒らされたのかよくわからない公園のベンチに座り、頭を抱えた。
辺りはもう暗い。
誰も人がいないし、歩く力も残ってない。
どうしようかな、と思っていると、
「由芽……!?」
遠くの方から、そんな声が聞こえた。
周りに目をやっても、姿が見当たらない。
「ゆーめ!」
視界にいきなり、舞が入ってきた。