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世界を消灯する少女達  作者: 氷上人鳥
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平野1・空を写す鏡

 これまでの経験を元に、道行く灯りを消しながら進んでいくと、次第に建物の姿が減り、草木が見えるようになってきました。


「やっぱり、緑があると落ち着きますね」


「ワタシはあそこも良いと思うけどな」


 そこからはうって変わって自然の光景が続き、ずっと流れていく緑の景色を眺めるばかりでした。


「……やっぱり、戻らないか?」


「ダメですよ。神様の試練はちゃんとやらないと」


 お姉ちゃんは、よっぽどあの場所が気に入ったようです。


「そう言えば、人間以外の動物はいるのだろうか?」


「いるみたいですよ。遠くからかすかに何かの鳴き声が聞こえますし」


「そうか。ならその内肉も食べられそうだな」


「捕るのはお姉ちゃんがやって下さいね。調理は私がやりますから」


 お姉ちゃんの数ある弱点の中で、料理の腕(味覚)は壊滅的で、家でもお姉ちゃんに包丁だけは持たせちゃいけないと言われていました。


 かなりの距離を進んだその先に、またもや見た事もない大きな何かが見えてきました。


「あれは何でしょう?」


「凄く大きな鏡、か? でもその割には随分上向きだな。まるで空を写してるかの様だ」


 近くで見ても、やはりただの鏡のようです。直視するのが眩しい位、お日様の光を受けています。


「熱っ」


「何やってるんですかお姉ちゃん!」


「いや、どう言う物なのか確かめる為に、ちょっと触ってみただけだ。察するにこれは、熱を集める装置なのではないだろうか」


「だとしても、こんなのどうすれば。灯りとは直接関係無さそうですし」


「これもおそらく、かつてこの世界にいた人間の産物だろう。そして未だに機能しているのであれば、やはり処理対象なのではないだろうか」


 本当にお姉ちゃんは、真面目な時と不真面目な時との落差が激しい人です。


「この前まで戻りたいだの言っていたお姉ちゃんが、急にどうしたんですか?」


「何。こんな大胆な発想をするこの世界の人間に、ちょっと興味が湧いてきただけだ」


 お姉ちゃんが熱し易く冷め易いのはいつもの事なので、軽く受け流しておきましょう。


「でも、実際どうしましょう……」


「破壊するか」


「無理言わないでください」


「……冗談はさておき。おそらくこれもどこかに一括で管理できる場所があるのだろう」


 あ、今の間はけっこう本気でしたね。


「そうですね。探してみましょう」


 私達は、家屋がないかを主に、周囲の探索を始めました。

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