都市4・灯りの元
食糧庫(?)を出発し、次に見つけた明るい部屋は。
「ふむ、たくさん点いてるな」
ひとつの建物の窓から、たくさんの明かりが漏れていました。
「これは、全部消して回るのは大変ですね」
「どこかにまとめて操作できるものがあれば良いな」
とりあえず中に入り、まずは一番下の階を二人で調べてみました。
見つかったのは上り階段と、人が住んでたらしき部屋がいくつか。そして……
「何でしょうね、これ」
「凄い唸ってるな」
他の部屋とは明らかに造りの違う一室に、金属製の大きな何かが、熱と低い音を放ち続けていました。
早速お姉ちゃんがあちこち調べ回りますが。
「さっぱり分からん」
「そうですか」
「ただ、これを止めるには別の何かがいる気がする。例えば鍵の様な」
「鍵、ですか。どうやらここにいても仕方がないようなので、それを探しつつ地道に消灯していきましょう」
「そうだな」
まずは外からどの部屋に明かりが点いているか確かめ、下から順に行こうとしたのですが……
「開かないな」
「鍵が掛かってるようですね」
明かりを消したいのに、そもそも入れない部屋が見つかってしまいました。
「外の窓から入るか」
「下の階はそれで入れても、上はそうはいきませんよ」
「そうだな……となると、やはりあれか」
「とりあえず、お姉ちゃんの勘に賭けてみましょうか」
ここで方針を変換し、例の機械を止める鍵を探すため、元々明かりが消えていた部屋も調べていく事にしました。
そのためにまず入ったのは、入り口に最も近い部屋です。この部屋の特徴は、入り口に入ってすぐの空間(玄関?)と繋がる窓がある事です。外と直接繋がっていない窓って、何だか不思議です。
「おっ、あった」
「何がですか?」
確かに勘も運も良いお姉ちゃんですが、油断はできません。
「この世界の果物だ。まだ腐ってないぞ」
ほらやっぱり。
お姉ちゃんは、ふとした拍子にちょくちょく脇道に逸れる癖があるのです。
「それとさっきの場所で使えそうな鍵だ」
「えっ?」
いきなりそれがあった事と、お姉ちゃんがすぐにそれを見つけた事が、二重で驚きでした。
「どうした? 変な顔をして」
「い、いいえ、何でもありません。とにかく、あの部屋に戻って試してみましょう」
さっきの部屋に戻り、お姉ちゃんがその鍵を使って何かをすると、本当に謎の機械が止まってしまいました。
「ふっ、ざっとこんなものだ」
「これで消えたのでしょうか?」
確認のために外に出て見上げると、綺麗に建物中の明かりが消えていました。
「こんな消し方もあるんですね」
「一体どう言う仕組みなんだろうな?」
「少なくとも、火を灯しているわけではないですよね」
そんな事を話し合いながら、私達は建物を後にし、また荷車に乗って出発しました。