表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を消灯する少女達  作者: 氷上人鳥
5/18

都市2・不思議な食糧庫

 原動機付き荷車に乗り、私達は進み始めました。


「お姉ちゃん、よく普通に動かしてますね、これ」


「動かし方はそれほど難しくはないぞ。妹もやってみるか?」


「遠慮しておきます」


 順調に進んでいるのは良いのですが、進めど進めど謎の大きな箱ばかり。


「このずっと並んでる大きな箱って、一体何なのでしょうね?」


「ああ、あれは人間用の住居らしい。妹が寝てる間にひとつ覗いてみたが、細かな差はあれワタシ達が使っている家具らしき物があった」


「へぇ、これがこの世界の人達が住んでいた家なんですか。にしてもずいぶん大きいですね」


「あれはどうやら、家がいくつも重なってできてるようだ」


 この世界の人達は一体、なぜそんな不思議な家を建てたのでしょう。


「あれを見ろ、妹よ」


「え? ……あっ!」


 その建物の中のひとつ、その一番下の部分で、明らかに他とは違う場所がありました。

 そこだけが、まるで中が燃えているかのように明るい光を出していました。


「あれは、燃えているのでしょうか?」


「それは違うと思う、煙も出ていないし。とにかく行ってみよう」


 その部屋は、とにかく不思議な場所でした。

 まず中はすごく明るいのに、まったく熱くないのです。天井に付いてる装置から、白い光だけが出ているようです。

 そしてそこは倉庫のようで、何かは分からない様々な袋が、所狭しと並べられています。ただ倉庫にしては並べ方がきれい過ぎる気もしますが。


「何やら美味しそうな匂いがしないか?」


「えっ、そうですか? じゃあこの袋の中身は食べ物なのでしょうか」


「ああ、食糧はここで確保できそうだ。あと、ここがワタシ達が最初に消す"灯り"なのだろう」


「そうですね」


 しかし、見た事も無いこの装置の明かりを、どうすれば消せるのでしょう?


「……って、何やってるんですかお姉ちゃん!」


 突然お姉ちゃんは、近くにあった袋を次々と開けていました。


「まずは中身を確認しない事には始まらないだろう。ほら、美味しそうな匂いの元はこれらしい」


 そう言ってこちらに差し出したのは、薄くて丸くて黄色い物でした。確かにとても美味しそうな匂いがします。


「うん、これは美味しい。特に食感が気に入った」


 私も一口食べてみましたが、確かに美味しいです。

 おそらく芋を調理した物だと思いますが、しっかり風味が付いていて、軽い食感と相まって止まらなくなる一品です。ちょっと油っこいのが気になりますが。


「ここには美味しい物がいっぱいあるようだ。持ち出せるだけ持ち出して、全部荷車に積んでおこう」


「そうですね。でもここにある全部は持って行けませんよ」


「ならすべてを開けてみて、厳選して持って行くとしよう」


「えっ……」


 本当にお姉ちゃんは、ここにあるすべての袋を一つずつ開けてしまいました。

 ただその過程で、ここには食べ物の袋だけでなく、容器に入った水なんかも置いてある事が分かりました。ついてます。

 私達はありがたくいただき、荷車に積み込みました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ