魔法使いのイライジャさん
雷に打たれたのかと思った。死ぬかと思った。
全身冷や汗。ジョセフなんて泡吹いてるけど、大丈夫かな?
僕に雷みたいなのを落としてくれたおじさんはイライジャさん。この国ので一番の魔法使いなんだって。いろんな国を放浪していて、今日は久しぶりに帰って来たらしいよ。
挨拶がてらのパフォーマンスで、僕に雷みたいなの落としたんだって。
雷みたいであって、雷ではないらしいよ。光るだけだって。
でも突然はやめてほしいよね。なんでか僕が喜ぶと思ったらしいけど、おしっこちびるとこだったよ。
因みに兄さまは大喜び。こんなところにいないで、早く婚約者見つけなよね。
イライジャさんがなにしに来たかっていうと、この前失恋して、しょんぼり中な僕を元気付ける為に父上が呼んでくれたんだって。
そんな事の為だけに国一番の魔法使いを呼んじゃうなんて、父上って親バカだね。
それでもって、めっちゃ恐そうな顔してるけど、そんな事の為に遥々来てくれるイライジャさんて優しいんだね。僕、感激。
「では参りましょうか。」
イライジャさんが指をパチンと鳴らすと、僕は外にいた。さっきまでお部屋の中にいたのに、どういうこと?魔法ってすごいね!
でもこんなに簡単に連れ出されちゃうなんて、僕拐われたりしないのかな?なんて心配してたんだけど、普段は使える魔法が制限される結界があるんだって。
今日は僕のために短時間だけ解除してたんだって。いいのかな?父上、危機管理甘くない??
まぁ、せっかくなのでイライジャさんの魔法を堪能させてもらおう。ワクワク。
「ジョセフー」
...いない。ジョセフがいない。っていうか、イライジャさんと僕しかいない。
え、まさかの二人きりですか?
「今日は私と二人きりですよ。特別です。」
「特別なんですか?」
「そう、特別です。今日は少しだけ魔法を教えてあげましょう。」
マジで?
魔法は練習すればみんなが使えるらしいんだけど、すっごく難しいんだって。
それに悪用されたら困るから、師弟関係の契約を結んで、身元のしっかりした人しか教えてもらえないんだって。
大半の人は魔法使いの作った、魔法アイテムを使って生活していて、特に不便も不満もないよ。
魔法使いって、技術職だよね。
それなのに、魔法を教えてもらえるなんて、テンション上がってきたー!!