春冷たし
今年の冬は雪が積もらず
梅が早く花開く
桜もそれに続く
今年の春は早々に来た
鶯鳴いてるホーホケキョ
燕がツィー、つぃーツイ
空を飛んでる山の里
今年はゆきしるが無い
轟轟流るる雪解けの水
川にうねる雪解けの水
今年の春はどこか違う
この前雪が降ったよ
山に積もっているよ
空気が、硬く冷たい
朝に霜が降りている
吐く息が白いしろい
洗濯干す手が
手がかじかむ
種を落として芽が出るか
土に触れば温度が低い
晴れれば川の水は低い
春の気温が低い
夏の水はどうなる
秋の実りの収穫は
これから田植えが始まる
これから夏野菜を種落とす
これから花の種を蒔く
果たして芽がでるのだろうか
四月の二十いち日
弘法大師さんのお祭り
花を立て、お菓子を供える
御詠歌を唄う
賽銭持った子供らが
御参りすると
お菓子を配る
春の一番楽しき日
今年はそれも取りやめだ
あちらもこちらも
取りやめだ
四月のにじゅう壱日
弘法大師さんのお祭り
寂しく静かな日になる
そろそろ苗代をする時
カッコウ鳴けば
霜は降りぬと聞いている
連休迄は霜が来る
カッコウ鳴けば
トウモロコシの種を蒔こう
ゴーヤも、オクラも
雲雀の声を待つ
夏野菜の種を蒔きたい
地温が高くとも低くても
雨が多くても少なくても
種は朽ちて消えていく
いい塩梅とは難しい
今年はようやくつくしが見えてきた
花が咲くのが早いと思ったら
大地の進みはゆるりとしている
地の中が冷えているのか
今年の春は寒い
目に見えぬ存在
人の心を凍えさす
明けぬ夜はないと言う
それを信じる力が欲しい