プロローグ2
「レオさん、この空間に来る前の記憶は思い出せますか。」
徐々に思い出してきた。
「・・・ななみの誕生日で、プレゼントはアクセサリーが欲しいって言って一緒に買いに行ってた。買い終わって、店を出たんだ。そしたら、」
「思い出されましたか?」
「ああ。トラックが俺たちの方に突っ込んできたんだ。咄嗟にななみを庇って・・・。俺は死んだのか?」
「そうです。」
「ななみは!?無事なのか‼」
「落ち着いてください。といっても無理でしょう。ななみさんは、今はまだ無事です。」
「今はってどういうことだ!」
「貴方が庇ったおかげで、今のところは生きています。ですが、それも時間の問題でしょう。」
「どうにか助けられないのか!?あんた、神様なんだろ!」
「確かに、私の神の力を使えば助けることはできます。」
「なら!」
「ですが、それはできません。」
「なんでだよ!」
「神は、基本的に世界に干渉してはならないのです。神の力は強力です。そのため制御が難しく、干渉した影響で、世界がどうなるかわからないからです。」
落ち着け。焦っても、憤ってもななみは助けられない。絶対に救うための手段が必要だ。
こいつは、わざわざ神の力について話した。ということは、可能性があるってことだ。考えろななみを救う方法を。
「・・・基本的にということは、例外があるんだな。」
「そうです。いくつか例外が存在しますし、抜け道もあります。」
「教えてくれ。」
「神が力を使うのは主に3つあります。ひとつは、世界を創るために。ふたつめは、逆に世界の破壊のために。最後は、生物に試練を与えるためです。他にもありますが、この3つが基本です。」
「どれも凄そうだが、ななみを助けるためには使えそうにないが?」
「そうですね。3つとも規模が大きくななみさんを救うことには使えません。なので、抜け道を使います。」
「抜け道というがどこにあるんだ?唯一、使えそうなのが試練だけだろうが、神様基準の生物ということは、生物全体のことを言っているんだろ。ななみだけには使えないんだろ。」
「ええ、そうです。私たち神にとって生物はみな同じ価値です。極論、星さえ無事なら良いとさえ思っています。ですが、星の円滑な運営のためには、生物が少なからず必要なので全滅が無いように救済措置が作られています。それが『使徒』です。」
「『使徒』は天使みたいなものなのか?」
「いいえ。天使は、私たち神の秘書のようなものです。つまりは、部下です。世界の運営の手伝いや魂の循環などをしてくれています。」
「天使じゃダメなのか?聞いてる限り十分そうだが。」
魂が循環してるなんて、宗教家が聞いたらびっくりすることを何事もなく言ったな。だが、神様の手伝いができるほどなら天使も十分な力がありそうだが。そう思い聞いてみると、エアルカーシュは首を振った。
「確かに、天使なら世界を乱すことも最小限にできるでしょう。しかし、天使はその星の生物ではありません。試練は、その星の生物が乗り越えるものなので天使は力を貸せません。」
「なるほど、なら『使徒』はなんなんだ。」
「『使徒』は、試練をクリアするための導き手。そのため、私たち神の力を貸し与えたもののことです。いわば、神の協力者ですね。さらには、協力者なので報酬も出ます。」
俺は、天使と使徒の違いを考えていると唐突に告げられた報酬に反応し、エアルカーシュの顔を凝視する。神の報酬ということは・・・。
「ええ、レオさん。貴方を私の『使徒』にします。そして、その代価として私はななみさんを救いましょう。」
エアルカーシュはうなずき、笑いながら俺に言ってきた。妹を救う可能性を。