No,03 住人の紹介
「さてと・・・」
テーブルに集まった住人を改めて見直す。
「色々、突っ込みどころはあるんだけど・・・」
そう言ってマリーさんに視線を向ける。
「デュラハンって事で良いのかな?マリーさん?」
「・・・え?」
「まぁ、他に頭の取れる人なんて知らないんだけど。」
そう言ってため息を吐く。
当のマリーさんは・・・ぽかーんって感じでこっち見てる。
「・・・驚かないの?」
ちょっとおどおどした感じでこっちをみるマリーさん。
「ん?驚きはしたけどね?でも・・・」
そう言ってスージーを見る。
「スージーで慣れてるし。」
そう言って苦笑いをする。
「ちょっ!何でそこでわたし!?っていうか、気づいてたの?」
かなり動揺しているスージー。
「ん?気づいてたっていうか・・・時々、羽根、見えてたし?」
ポリポリと頬を書きながら視線をそらしつつ話す。
そらした先、他のみんなの視線もスージーに向けられている。
うん、残念な娘を見る目つきだね。
「な?なんですか?みんなまで!?そんな残念な娘を見るような目つき、やめてくださいよぅ。」
「うん、まぁ、残念ってのは知ってたけどね。」
きっぱり言いますね、珠子さん・・・
「ひとつ、聞きたいんだけど。」
やっと立ち直ったスージーが話し始める。
「冬夜は今まで・・・知っててわたしに話しかけてたの?」
「うん。それが?」
「それが?って・・・怖くないの?」
「怖いって?」
「だって、人間じゃないんだよ?」
「だって、スージーだし。」
「なんかむかっとしますね、その答えは。」
ちょと膨れるスージー。なんか可愛い。
「ごめん、言い方悪かった。今まで何かされたこともないし。何もしないって信用出来るだけの時間は一緒に過ごしてきたしね。」
「冬夜・・・」
「わたしの中ではスージーは・・・羽根が生える時があるけど普通の女の子だよ?ネトゲ廃人だけど。」
「ネトゲ廃人は余計です!!」
「はいはい、奇怪なラブコメは後で部屋でたっぷりどうぞ。それよりも・・・」
手を叩きながら間に入る珠子さん。
「冬夜君としてはどうなの?」
「どうなのとは?」
「はっきり言っちゃうとね?ここ、人間って君しか居ないんだよ。」
「はぁ。・・・で?」
「で?って・・・まぁ、一応、君を殺したりとかは無いと思うし・・・」
そう言って全員の顔をみて・・・ため息を吐きつつ、
「まぁ、こいつらじゃ出来ないだろうしねぇ。」
「はぁ。」
「はぁって・・・全員、人外なんだよ?それでもここに住む?」
「行くとこ無いですしねぇ。・・・それに。」
「それに?」
「私からすると人間の方が怖いですし。特に金に目が眩んだ聞いたこと無い親戚とか。」
「あぁ・・・なるほど。」
「あとはまぁ・・・色々、面白そうじゃないですか?」
あっけにとられたような顔をする珠子さん。
しかしすぐに柔らかい表情に変わり
「改めて歓迎するよ、ようこそ、出来損ないな妖怪ばかりの鹿鳴館へ。」
「ん?出来損ない?」
「失礼な!」
「だだだだれの事ですか!?」
「こいつらと一緒にするな!」
みんな一斉に文句を言い始めるが全く気にして無い珠子さん。
「出来損ないってどう言ういみです?」
不思議に思ったので聞いてみる。
「ん?そのままの意味だよ?」
そう言って一人づつ紹介してくれた。
「まずは君の友人、スージー。彼女はサキュバス。しかし、エロい事が苦手でねぇ。未だに淫夢もまともに見せられない。」
スージーを見ると目が泳いでた。
「だだだだって、は、恥ずかしいじゃないですか!」
「うん、出来損ないっていうか・・・色々残念な娘だねぇ。」
「残念とか言うなぁぁぁぁ!!」
そう言いながら顔を真っ赤にして走って行った。
ご飯食べないの?
「次にマリー。こいつの方がエロいって意味じゃ上だな。あの服装も男が喜ぶから・・・だそうだ。」
た、確かに。メイドさんに色々ご奉仕されるのは男の夢!!
「死を予言する存在なんて言われてるけど・・・」
「冬夜もわたしの上で腹上死してみる?」
ニヤニヤと笑いながらすり寄ってくるマリーさん。
「是非!!(キリッ)」
スコーン!x2
スージーに叩かれました。マリーさん共々。
マリーさん、スージーに叩かれて転がっていった頭を追いかけて行っちゃいました。
「まったく!バカな事やってるんじゃありません!」
あいすみません。
「んで次。クリスは座敷童子。と言ってもこの建物の現状を見れば出来損ないなのは一目瞭然。」
「えー?別にボロいのはわたしのせいじゃ無いよ?」
「いいから服着なさい!!」
「やだ!冬夜だってこのままの方がうれしいよね?」
「間違いな痛い痛い痛い!!」
「見ちゃダメです!!」
スージー?目に指食い込んでるから!!
「座敷童子が悪戯好きなのは有名だけど・・・こいつ、この手のエロ系な悪戯ばっかりなんだよなぁ・・・」
「喜んでくれた?」
そう言って上目遣いで覗き込んでくる全裸美少女。
思わずサムズアップで答える。
ギリギリとスージーの指が目に食い込む。
・・・スージー?そろそろ目から血が出るから勘弁して?
「んで、鏡花は人狼。と言ってもこいつの場合、狼というより・・・犬?」
「・・・わん!」
ケモミミと尻尾が生えてた。尻尾、取れそうなくらいブンブン振ってる。
「んで未だに気絶してる菜月は吸血鬼。なんだけどなぁ・・・こいつ、血が苦手でねぇ。見ると気絶しちまうんだわ。」
「・・・た、確かに、残念ばっかりですね。」
でも・・・
「なんか、楽しそうですね。」
と素直な感想を述べた