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2015

作者: 水瀬火ノ

「はーい、今年も始まりました。行く年来る年忘年会」

 現在時刻は2014年十二月三一日二三時五十分。

 コタツを囲んで顔を突き合わせている男子高校生どもが三人。それぞれ京介、翔太、彰。細かい説明は文字数の無駄なのでパス。とりあえずネタ振りしてツッコんでるヤツが京介。ミカン食べてるのが翔太。それ以外が彰。

「いやー、今年もいろいろあったね」

「ミカン美味しい」

「てか聞いてくれよ、終業式の帰りに下駄箱あけたら外履きにミカンの皮と牛乳拭いたボロ雑巾が突っ込まれてたんだ。一体誰があんなことを……」

「うわー、京介かわいそうだな」

「そんなことするヤツ絶対に許せねぇ。ミカンうまい」

「そういえば色々騒がれてたけど、『STAP細胞』って結局なんの略なんだ?」

「スゴい! たいへん! ありえない! ポールの細胞」

「どんだけすげぇんだ。ポールは一体何者なんだよ」

「最低! たかし! あなた! ポールと浮気してたなんて! この際、暴力も厭わない! あとミカンデリシャス」

「またポールかよ! てか、細胞の部分だいぶ無理矢理突っ込んだな!」

「京介よ、多分ツッコむ所はそこじゃない」

 ここで京介が閑話休題とばかりに提案を持ち出す。

「ここは一つ、今年の締めくくりってことでそれぞれの秘密を公開し合おうぜ。今年の出来事でなにか言っときたいこと。お互いに何を言われても水に流すこと。いいな」

 ほかの二人は異議なしと頷く。まず先手を切ったのは発案者の京介。

「じゃあまず俺から。コホン。前に俺が気になってるって言ってた女の子がいただろ? となりの席のミサキちゃん。実は終業式の日に思い切って告白したんだ。それで、俺たち付き合うことになった。秘密にしてたけど二人には話しておこうと思ってさ」

「「へー」」

 お前、彼女できた自慢がしたかっただけだろ。と、げんなりする二人。次は翔太。

「終業式のあと、教室に忘れ物を取りに戻ったらカップル誕生の瞬間を目撃したミカン。ムシャクシャして適当なヤツの下駄箱にミカンの皮を入れたミカン。後悔はしていないミカン」

 次、彰。

「終業式の日、ちょうどいいところにゴミ箱があったんで牛乳拭いたボロ雑巾捨てといた」

「へー、そうなんだ。てか翔太の語尾が『ミカン』になってたんだけど」

 会話が途切れる。テレビのお笑い番組の笑い声が室内を満たす。『松本、浜田アウトー!』

 そして、しばしの沈黙のあと京介がおもむろに口を開いた。

「やっぱりお前らかよ!! 想像してみろよ、付き合いだした直後に彼氏の下駄箱から生ゴミ発見したときのミサキちゃんの気持ち! 怒りとも悲しみともつかないような表情してたからな! お前らそれでも友達かよ!」

「違ぇよ。俺たちはミサキちゃんに対して、京介の汚い部分も受け入れることができるのか試したかったんだよ」

「どっちかって言うとそれお前らの汚い部分じゃね!?」

「すき、きらい、すき、きらい、すき、きらい」

「翔太がミカンで花占い始めた!?」

「すき、きらい、すき、きらい、すき、きらい、きらい」

「うわー、残念だな。京介、どうやらミサキちゃんはもうお前に愛想を尽かしてるみたいだ」

「いや、いま無理矢理きらいな方で終わらせたよね!」

「まぁまぁ、全部水に流すってことで。ミカン最高」

「チクショー!!」

「おい、年明けたってよ」

「結局、さんざんイジリ倒されて2014年が終わった……」

「ミカンうまい」


 というワケで2015年も良い年でありますように。

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