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064 「よくやったほうじゃねーの?」

一話1000字前後の短編連作です。3分もあれば読めるかと。


毎週火曜日更新中!

 お手伝いさんの言葉を聞いて、師匠は突きつけていたスプーンを下ろす。


「まーこんなもんだろ。よくやったほうじゃねーの?」


 そう言いながら胸の谷間に身の丈ほどもある巨大スプーンが吸い込まれていく。


(だから一体どうなってるんだ……⁈)


 取り出した時も驚いたが、本当にどんな仕組みなのかサッパリ理解できない。錬金術とはこんな手品じみたことまで出来るのか。

 きっとスプーンの方に何か仕掛けが施されているのだろうが、まさか師匠の胸にこそ秘密があるのかと疑いたくもなってしまう。


 なんてことを考えていたら、お手伝いさんの視線は谷間へ向いていた。


「気になるか? なんなら手、突っ込んで確かめてみてもいーんだぜ?」


 目の前で胸を突き出してくる師匠。

 砂浜のようにきめ細やかな白い素肌が、内側から服をはちきらんと押し上げる。


「け、結構です!」


 ブンブン両手を振って断りながら後ずさり距離をとる。


「あっそ。たった一度のチャンスを棒に振るなんて勿体ねーことしたな」


 ニヤニヤ笑いながら師匠は言う。完全に遊ばれている。勝負でもほとんど遊ばれていたようなものだったし、この人には何があっても敵わない気がしてくる。


「さてと、じゅーぶんヒマは潰せたし、戻るとすっか」


 くるりと踵を返して唯一の出口へ向かう師匠。

 その後を追いかけるように着いていくお手伝いさんは〝注意を逸らす〟ために声をかける。


「大先生は随分お若いように見えますけど……失礼ながらおいくつなんですか?」

「『大先生』ってなんか違和感あるけど悪くはねーな。しかしだクソ野郎。レディーに年齢を聞くなって教わらーーっキャッ⁈」


 言っている最中、男勝りな喋り方をしていた師匠とは思えない女の子らしい悲鳴をあげて、入り口付近で前のめりに転倒した。


 師匠の足元には、張り詰めた細い糸が一本。左右の脇に捨てられたガラクタ同士に結びつけられていた。


 それを見た師匠は「まさかテメー⁈」と声を荒げる。


 それはーーお手伝いさんが爆弾から逃げ回りながら密かに結んだもの。


「これも意図したものですから『間接的な一撃』に含まれますよね? そして大先生はこう言いました。『テメーを行動不能にしたらアタシの勝ち。アタシに一撃でも入れたらテメーの勝ち。あるいは負けを認めさせた方の勝ち』と。僕は行動不能にもなっていませんし、負けを認めてもいません」

「認めただろ⁈」

「いいえ認めてません。『これ以上は手が無い』と言ったんです。……僕の勝利条件はこれで満たしたと思うのですが?」


 倒れた師匠に手を貸して立たせる。

 露出の多い格好をしているのに擦り剥いたりしていないあたり、さすが師匠と言ったところか。とっさの受け身でも完璧だったようだ。


「チッ……わーったよ。アタシの負けだ。認めよう」


 子供っぽく唇を尖らせて不満そうな表情を浮かべるが、しっかりと言葉にして認めてくれた。


 勝負の結果は、お手伝いさんの負け改め……逆転勝利!

次回第65話「見えない姿」


お楽しみに!

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