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005 「失言」

一話一話が2000字程度の短編連作となっております。一話読むのに三分もあれば充分くらいの文量ですので、何かの休憩などにチラッと読んで落ち着いて頂ければそれだけで書いた意義があるというものです。

週に一話投稿出来ればいいなぁと思ってます。

 錬金術士が扉を開けて外に出るとまばゆい光が目を突き刺してきて、とっさに目を細め、手で影を作るがそれでも充分すぎる程に眩しかった。

 外にはハッキリ言って何も無い。

 見える範囲であるのはポストと、川と、洗濯物を干す棒くらい。

 それ以外のほとんどは草原だ。

 目を細めればようやく見える程遠くに、大きな城を街が囲うようにして出来た王国がある。反対方向には巨大な森林。

 錬金術士の家から見てそれぞれが北と南に位置し、東には山、西には海がある。


「んー! いい天気だねぇー!」


 ぽかぽか陽気に伸びをした錬金術士のふわふわな髪が、優しい風に吹かれてなびく。

 風で左右に揺れ動く草花は、まるで踊っているようだった。


「これは洗濯日和ですね」


 一緒に外に出たお手伝いさんが呟いた。

 晴天な上に心地よい風まで吹いている。今日以上に洗濯日和な日は他に無いだろう。

 しかしこの呟きは、余計な一言だった。


「じゃあお手伝い君、私の分も洗濯よろしくね」

「えぇ⁈」


 普段は、洗濯だけは当番制でやっている。と言っても錬金術士が洗濯当番なのは週に一日だけで、今日がその一日のはずなのだが、早速お手伝いさんに押し付けて来た。

 唯一洗濯をしなくてもいい日がまさに今、潰されようとしている。


「今日の当番は先生じゃないですか! 一日だけの安息日を奪わないでくださいよ!」


 自分の分も含め、当然錬金術士の服も洗濯している。3ヶ月経った今でも女性の服を洗うのには抵抗があるので、この一日だけは神経をすり減らさなくて済むのだ。

 そんなお手伝いさんの気持ちなんか知らないようで。


「私は錬金術で忙しいの! お願いね?」

「忙しい……?」


 はて、錬金術士が忙しそうに働いている姿を見た記憶が無いのだが。


「お・ね・が・い・ね?」


 可愛らしくお願いされてしまった。こうなってはお手伝いさんには断れなかった。


「はぁ……もう分かりましたよ」


 こうお願いすればお手伝いさんは断れない事を錬金術士は知っているのか、いないのか。


「ありがと♪」


 無邪気に笑って言う。

 そんな顔をされたら、怒るものも怒れない。

 結局、お手伝いさんは錬金術士には頭が上がらないのだった。

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