037 「一難去ってまた一難?」
一話一話が1000字程度の短編連作です。3分もあれば読めるかと。
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もしゃもしゃと、持ってきた非常食である干し肉を口に咥えながら洞窟の中を延々と歩く。
すでにかなりの時間が経過しているが、いっこうに出口らしき光は見えてこない。
相変わらず登りだし、分かれ道もなく一直線なのだが、これは深みにはまってしまったのだろうかと少し心配になってしまう。
ここまで歩いてきたのに行き止まりでした、なんてオチになったりしないだろうか。
「小生も風の流れを感じているし、行き止まりになっている事は無いと思うけれど」
お手伝いさんの心配事を相談すると、いぬねこは冷静にそう返事をしてくれた。
「奥に住み着いている巨大生物の息、という可能性も捨て切れないけれどね」
「怖い事言わないでくださいよ!」
「はっは、冗談だよ。もしそうだとしたらきっと、この風はここまで心地良くないだろう。もっと臭かったりするかもしれない」
臭くないのはいい事だが、この吹き抜ける風の所為で体感温度は結構低い。
早く洞窟を抜けて錬金術士の師匠がいる家に行かないと。
最悪の場合、洞窟なんて言う薄暗い場所で誰にも知られず、誰にも見つからずに死んでしまう。死因は餓死か凍死か。
冗談じゃない。
「一難去ってまた一難とは、この事ですかね」
「おや、先に言われてしまったか。まさしくその通りだと小生も思う」
初めていぬねこの先手を取って若干嬉しく思うが、喜んでいる場合では無い。
「早くこの状況を何とかしないと、食料も燃料も尽きちゃいますよ」
「ふむ、それは確かにまずい状況だね。一刻も早くこの洞窟を抜けるため、その脚をもっと速く動かしたまえ」
「おんぶされてる身で偉そうな事いわんで下さい!」
いぬねこはどんな状況に陥っても、このマイペースを貫いてしまうんだろうなぁ。
なんて思ったお手伝いさんだった。
次回第38話「しっかりした子」
お楽しみに!




