特別編 「メリークリスマス!」
一話一話が1000字程度の短編連作です。3分もあれば読めるかと。
「「「メリークリスマス!」」」
パンッパンッ!
錬金術士、いぬねこ、お手伝いさんの掛け声と共にアトリエに鳴り響く二つのクラッカー。いぬねこは手足の関係上クラッカーを鳴らす事は出来ないので声だけだ。
テーブルにはお手伝いさんが用意したご馳走の数々。ケーキにチキンにその他諸々。
「うまく鳴りましたね、先生!」
「クラッカーの錬金大成功だよー!」
「耳がキンキンするね……」
クラッカーを鳴らした際に飛び出した紙片が静電気でもふもふのいぬねこに吸い寄せられていく。
引っ付いた紙によってカラフルに彩られたいぬねこは、体をよじって掻くように手足を使い、紙を取ろうとするが取っても取っても吸い付いてしまう。
「ちょ、ちょっと君達……これを何とかしてもらえないだろうか?」
「じゃあ先生、ケーキ切り分けますので、少々お待ちを」
「待ってましたーお手伝い君の特製ケーキ! やったー!」
「無視かい⁈ 小生への扱いが酷くはないかなっ⁉︎」
ジタバタしているいぬねこを放って二人は楽しくケーキを切り分け始めた。
お手伝いさんが腕によりをかけて手作りしたワンホールのケーキ。生クリームたっぷりで果物盛り沢山のフルーツケーキだ。
作ってる間に錬金術士が待ち切れない様子で子供のようにソワソワしていたが、邪魔されるよりはマシという事で、文句が飛び交う前に大急ぎで仕上げた渾身の一品。
スポンジから生クリームまで、一から手作りした100%お手伝いさん製である。
「はい、どうぞ」
「ありがとうー!」
綺麗に八当分されたケーキが乗った小皿が錬金術士の前に置かれる。
「いっただっきまーす!」
フォークを握ったまま満面の笑みを浮かべる錬金術士。その笑顔を見れただけでも頑張ってケーキを作った甲斐があるというものだ。
すっ、と何の抵抗もなく切れるケーキ。そのまま錬金術士の小さな口の中へ。
「んーっ! おいひーぃ!」
「嬉しいですけど、お行儀悪いですよ先生」
しっかり手で口を隠してはいたが、食べながら喋るのはマナー違反だろう。しかし公式の場ではないのであまりうるさくは言わないお手伝いさん。
「ん……。だって美味しいんだもん! いいじゃん、美味しいは正義だよー!」
今度はしっかりと飲み込んでから。
はいはい分かりました、と適当に受け流しつつ、自分の分といぬねこの分も取り分ける。その間にも錬金術士はどんどん食べ進めていって、あっという間にケーキが乗っていた小皿は空っぽに。
「おかわり!」
「はやっ⁉︎ 散々フルーツとかつまみ食いしてたくせに!」
そのせいでケーキに使うフルーツが減って、ボリュームダウンしているのは内緒。
「女の子は胃袋が四つあるんだよー?」
「ふむ……それは、いわゆる草食動物として有名な、う……むぐ⁈」
「へ、へー! そうだったんですか! それは知りませんでした!」
何かを言いかけたいぬねこの口の中にケーキを突っ込んで黙らせたお手伝いさん。
「よーし、今日はいっぱい食べちゃうよー!」
「お、おー」
食べ過ぎて牛になっちゃったりしないか、密かに心配したお手伝いさんだった。
てなわけで一読ありがとうございました!
毎週火曜日に更新してますが、クリスマスということでちょこっと書いてみました。
別に羨ましくなんかないです。本当です。ホントです。ホントデス。
それではまた火曜日に!




