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巫女と巨人  作者: Anzus
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プロローグ 彼女と、どこか



(……ねむい)



意識が覚醒して、初めに思ったことは「二度寝したい」だった。

ふかふかのベッドとサラッとしたシーツの触感を肌や服越しに感じながら、感覚の隅に引っかかる違和感を意識の隅に追いやり、うつ伏せになって枕に頬擦りする。そのままユラユラと意識を漂わせていたが、再び寝入るにはさっきから感じている違和感が邪魔をし、結局完全に意識が覚醒してしまった。


目を閉じたまま「ふかふか」のベッドの触感を確認する。身体が1/3ほど沈み込むベッドの感触には覚えが無い。自室のベッドはもっと硬かったはずだし、布団もこんなにフカフカしてはいなかったはずだ。すぅ、と息を吸うと、枕からは陽だまりの匂いに交じって、微かに自分の住む街にはありえない匂いがした。


(森の匂い)


柔軟剤などの「作った」匂いではなく、雑多な木の匂いが交じった、まさしく「森林」のにおいが、その枕からは微かにだが確かにする。布団も、いつものペラッペラの毛布一枚ではなく、ふかふかの掛布団だ。

ピチチチチ、と鳥の囀りのような音が聞こえる。いや、実際に鳥の囀りなのだろう。テレビでも付いているにしては、それ以外に音がしない。目蓋越しでも明るいと判断できる(恐らく)室内は静寂に包まれ、例えば時計の秒針の音とか、歩くときの足音とか、その他音と言う音が殆どしなかった。唯一、自分が動いた時に少し布擦れの音が少しするぐらいだ。


(……ここどこ)


動くどころか、目すら開けずに考える。

そもそも、此処が何処かよりも先に、何故自分は自室に居ないのだろう。昨日は深夜の1時ぐらいに家に帰って、風呂だけ入ってそのままご飯も食べずに寝てしまったはずだ。というか、晩御飯はバイト先のコンビニで廃棄のお惣菜を貰って帰る前に食べてきた。


そして気が付いたら知らない場所。何が起こったのか、若しくは起こっているのか見当がつかない。自分は夢遊病の気でもあったのだろうか?今まで寝て起きたら知らない場所に居た、と言ったようなことは無かったのだが。確かに異常な程寝つきが悪くて、2~3日に一回は眠れなくてそのまま徹夜することがあるが、それはそもそも眠れないという話で今回の状況とは無関係と思われる。


ごろん、と今度は仰向けになる。

やはり背中に受けるベッドの身体が沈み込むような感触には覚えが無い。外は風が吹いているのか時たまガラスを叩くような音が聞こえるが、少なくとも風が肌を撫でる感覚は無い。ベッドがある事も含め、ここは屋内なのだろう。枕や布団から森や陽だまりの良い匂いはするが、特に埃っぽいという事も無いし、胃に溜まった胃酸が空腹を訴える。


いい加減、起きなければ。




ゆっくりと瞼を開くのと、ガチャ、と扉の開く音を耳が捉えたのは、果たしてどちらが先だったのだろうか。





目が覚めたら知らない場所に居たにも関わらず、呑気に眠りこけながら情報を集めるずぶとい女性が我が家のヒロインです(笑)

初投稿なので至らない部分はあるかと思いますが、暖かい目で見て下さると幸いです。誤字脱字のご報告や、ご意見、ご感想は大歓迎ですが、誹謗中傷はお止め下さい。チキンには刺激が強すぎますので。

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