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無限英雄  作者: okami
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第11話『リセットされた世界』

「目の一つも潰してやれば、発動するかもな」


 その針はゆっくりと瞳の目に向けて伸びていく。

 瞳は気がついた。見覚えのある光景。


「ああっ!」


 瞳は抑えられた両手両足をスライム化すると、チューインの束縛を抜けた。


「なに!?」


 突然自分と同じ能力を見せた瞳に驚き、チューインの反応が遅れた。


「わー!」


 瞳は吠えると、腕を硬質化させて、チューインの実体化している顔面に思い切り叩き込んだ。


「べっ!?」


 チューインはなんともいえない声をあげると、鼻血を出して気を失った。


(…本当に時間が戻ってる!)


 瞳は巻き戻された世界を確認しつつ驚く。

 

「・・・つ、円奈、お前・・・?」


 ナイフを片手に突然謎の能力を発現させて敵を倒した瞳に、呆然とした表情の京介が戸惑っていた。


「任意くん、じっとして」


 瞳は京介に触れると、増幅能力をコピー。

 その能力で京介の自然回復能力を増幅した。


「・・・腕が、治った・・・!?」

 折れていた腕が完治し、任意は恐る恐るギプスと包帯を外した。


「任意くん、説明は難しいんだけど・・・私を信じてついてきて欲しいの」


 何か言いたそうにした京介だったが、瞳の真剣な目に問うのをやめた。




 パイルマニアは刑務所に忍び込むと、(がたい) 辰葉(たっぱ)の牢の鉄格子を溶かした。

「・・・パイルマニア・・・?」

 座禅を組んでいた堅は怪訝そうにパイルマニアを見た。

「出ろ、手伝ってほしいことがある」

 パイルマニアはにっと笑った。




 京介は瞳に言われるまま、インフィニティとなり、瞳を後ろに乗せてバイクを飛ばした。


『黒幕って、超人狩りの首謀者って事か?』


 瞳から統治の事を聞かされたインフィニティは後ろで捕まっている瞳に尋ねた。

 ヘルメットの通信を通しているので風の音で聞こえないという事はない。


『そう。私ね、その人と任意くんが戦って、みんな死んじゃうのを見たの・・・』


 京介にはイマイチ理解が出来ない。


「おまたせ」


 走行中のバイクの横にハイスピードが走って追いついてきた。


「おや、あの時のお嬢ちゃんか」


 ハイスピードは指でVサインを作った。


『よくブレインが来るの許したな』


 瞳の話をまったく信じなかったのはブレインであった。

 なまじ頭脳が優れているだけに、不可能であろう事を肯定することに抵抗があるようだ。


「勝手にしろって言われたからな」


 ハイスピードの言葉にインフィニティは苦笑した。

 ブレインは相当頭に来ているようだ。


(前になかった要素は多いほうがいい)


 やりとりを横目で見ながら、瞳は脳内で呟いた。

 あの時、ハイスピードは別件であの場にいなかったのだ。




「インフィニティが生きていて、ここをかぎつけた?」


 スパークリングがパイルマニアの言葉を反芻した。

 統治のビルにネクスターを集めて、パイルマニアは言った。


「確かに、みっつの反応がこちらに向かってきているぞ?」


 イージースカイがネクスト反応機を見て言った。


「迎え撃つ必要があるな」


 ネクスター達は頷く。


「俺は統治さまの警護につく、伏兵がいるかもしれないからな」


 パイルマニアが言うと、ネクスター達は頷いて同時に動き出し、インフィニティ達の迎撃に向かった。

 その場に残ったのはパイルマニアとスパークリング。


「行かないのかスパークリング?」


「・・・俺も統治の警護にまわる」


 パイルマニアは鼻でフンと鳴らす。


「信用してないのか?」


「そういう訳ではないんですよ・・・まあただ、楽がしたいだけですよ」


 スパークリングはにっと笑う。


(厄介なやつが残ったな・・・)


 パイルマニアは心中で舌打ちをした。




 サチューカン、メイクアップ、リキュール、イージースカイがインフィニティ達を見つけて襲い掛かってきた。

 空を飛べるイージースカイ以外は同じ型のバイクにのっている。

 走りながらインフィニティのバイクを円を作って補足した。


「まかせな!」


 ハイスピードは前に出ると、サチューカンのバイクの横面に蹴りを入れた。

 バランスを崩してサチューカンは転倒して後ろに消えていった。


「ぎーっ!」


 鳥のような声を出すと、イージースカイがハイスピードを捕まえた。

 そして後ろに放り投げられた。


「くおっ、ぬかった!」


 ハイスピードは火花をおこすほど地面と摩擦を起こして体を止めた。

 そして追いつこうと走り出そうとするが、立ちはだかる影に注意をとられた。


「ざけたことしてくれたじゃねぇか」


 先ほど蹴落としたサチューカンが立っていた。



 

 バイクチェイスが続き、空と左右からの攻撃を何とかかわしつつインフィニティは当地のビルに向かっていた。


(これ以上かわしきれない)


 追いかけてこないハイスピードも気になる。

 さすがに多勢。バイクに乗りながらでは相手も出来ない。後ろには瞳も乗せている。

 すると向かう方向の道路の真ん中に人影が見えた。


「!?」


 見覚えのあるその人影のわきをインフィニティのバイクはすり抜ける。


「斬!」


 その人影が抜刀すると、インフィニティを追いかけていたリキュールとメイクアップのバイクが横一文字に切り裂かれた。

 2人はバイクから飛び降りて着地すると、バイクを切った人影を睨んだ。


「そなたらに恨みはないが、これも契約、悪く思うな」


 と、両手に刀を持ったザ・ソードが言い放った。


「契約? 誰に雇われたネクスターだ!」


 メイクアップが叫ぶと、物陰からもう一つ人影が出てきた。


「私よ」


 千両範子が姿を現した。




 尚もしつこくイージースカイは空からインフィニティを追っていた。


『見えた! アレだよ任意くん!』


 統治のビルが見えてきた。

 インフィニティは瞳を強化すると、バイクから思い切り前方に放り投げた。


『なっ、きゃああっ!?』


 瞳の叫び声がヘルメットの通信に響いてくる。

 インフィニティは走行しているバイクの座席に立つ。

「キエー!」

 そして襲い掛かってきたイージースカイを飛び越えると、そのまま蹴りで前方にイージースカイを蹴り落とした。


「げえっ!?」


 地面に叩きつけられる瞬間、走ってきたインフィニティのバイクがイージースカイの体を風圧で拾うと、そのまま一緒にビルにつっこんで爆発を起こした。

 バイクを降りたインフイニティは瞳を空中で捕まえると、地面に火花を散らして着地して、勢いを殺した。


『ふぅ』


「もう、無茶するな!」


 ヘルメットを脱ぐと、半泣きの瞳が怒鳴った。


『なんだよ、うまくやったろ?』


 瞳を降ろすと、京介は統治のビルを見上げた





 統治のビルの最上階。社長室。


「守ってもらう必要などないのだがね」


 統治はパイルマニアとスパークリングにそう言うと、椅子から立ち上がった。


「見たまえ」


 統治は箱に入ったブレスレットを見せた。


「これは?」


「人間の肉体を超人以上まで高められる装置だよ。昨日完成した」


 統治はそれを腕にはめた。


「これさえあれば、私は最強のネクスターになれる、ふふふ」


 野望に満ちた視線をブレスレットに向けた。


「へえ・・・これがねぇ」


 パイルマニアは興味深そうに統治に近寄ると、統治のブレスレットのついた腕をつかんだ。


「・・・何を?」


「これで肉体強化は出来ない」


 ぼっ。統治の腕が燃え上がり、ブレスレットがショートした。


「ぐ、ぐああっ!?」


 統治は叫び声をあげた。


「パイルマニア貴様、やはり・・・!」


 スパークリングが襲い掛かろうとすると、タイミングを待っていたかのように後ろの壁が爆発してバディビルが現われ、スパークリングを後ろから抱きしめた。


「何!?」


「ぐおおおおオ!」


 みしり。スパークリングの体が悲鳴をあげた。


「ぐっ!」


 スパークリングは電気化するとバディビルの腕から抜け出そうとしたが、バディビルの腕のゴムのコーティングで抜け出す事が出来ない。


「統治、燃えつきろ」


 パイルマニアは統治に向かって炎を撃ち出そうとした瞬間、後ろからの攻撃に体勢を崩した。


「がっ!?」


 振り向くと、統治が銃を構えて立っていた。片腕はやけどで使えないようだが。


『裏切り者とは、うかつだった』


 後ろと前の統治が同時に言った。

 統治の能力は分け身。

 肩を抑えたパイルマニアに銃を向けた。


「君もだ」


 気がつくとバディビルも6人ほどの統治に銃を突きつけられていた。


「スパークリングを離したまえ」


 バディビルはパイルマニアを見ると、パイルマニアは首を縦に振った。


「ぐおおおっ!」


 バディビルは吠えると、スパークリングを思い切りパイルマニアに向けて投げた。

 瞬間、統治の銃の光がバディビルとパイルマニアを貫いた。


「ぐはっ!?・・・ははは、だが・・・」


 パイルマニアは血を吐きながらも口元に笑みを浮かべると、飛んできたスパークリングに最後の力で体当たりを食らわした。

 雷と炎があわさり、大爆発が起こった。




 ガイオナースのネクスターとインフィニティ側の能力者の戦いは圧倒的だった。

 サチューカンはハイスピードのスピードに翻弄され、リキュールやメイクアップにしても範子やザ・ソードに勝てるだけの能力はなかった。

 あえなく勝負はついた。


「協力ごくろーさん。で、あんたたちは?」


 ハイスピードはこの2人に面識はない。


「では、我は帰らせて貰う」


 ハイスピードの問いを無視すると、刀を納めてザ・ソードは背を向けた。


「あの、報酬は?」


「モノラルからすでに貰っている」


 ザ・ソードの雇い主、金目野モノラルは、範子の夜の仕事の常連さんで、いたく範子を気に入っているのだ。

 今回の件で相談した際にザ・ソードを派遣してくれたということだ。


「では、せめてこれを」


 と、範子はサ・ソードに何かを渡した。

 見ると、小判だった。


「ぬ、これは・・・?」


「小判?」


 横で見ていたハイスピードも驚きの声をあげる。


「ええ、見つけたんです私」


 にっと笑う。


「埋蔵金」


 ハイスピードとザ・ソードは顔を見合わせた。





 ビルの前にいたインフィニティは、突如最上階で起こった大爆発の影響で、落ちてくる破片から瞳を守る。

 大きな破片がインフィニティの肩にあたり、激痛が走った。

 が、瞳がすぐに治癒力を増幅して痛みを取り除く。

 沈静化すると、インフィニティと瞳は立ち上がった。


『怪我ないか?』


「大丈夫」


 瞳はスカートをはたいた。

 見上げると、ビルの上部は煙を上げて、最上階から5階分ぐらいを短縮していた。


「・・・うおううぅ・・・」


 うめき声がした。

 インフィニティは瞳を守るように前に出る。


「・・・何故、こんな、事に・・・」


 全身ボロボロの統治がふらふらと歩いてくる。

 あの一瞬、その場にいた統治が1人の統治を守り、なんとか即死はまのがれたのだ。


『もしかして、こいつが・・・?』


 統治は歩みを止めてキッとインフィニティを睨む。


「その、とおり、だ・・・まさか、こんな対面をする事に・・・なるとはな、ヒーロー気取りの愚か者が!」


 統治は銃をインフィニティに向けた。


『・・・やめろ。そんな体じゃ俺には勝てない』


「ハアハア・・・楽しいだろう? 自分より弱いものを眺めるのは、愚かな人間を見下すのは・・・」


『楽しいもんかよ! さっさと縛について病院行けよ!』


「ふふ、ふふふ、わた、しはねぇ・・・楽しいんだよ!」


 統治の体がぶれると、10人ほどに分かれてインフィニティを取り囲んで銃を向けた。

 しかしその全員がボロボロで息もも絶え絶えだ。


『・・・そんな体で能力を使えば死ぬぞ!』


「先に貴様が死ぬさ」


 後ろから声がしたかと思うと、いつの間にか瞳に銃を向けている統治がいた。


『・・・てめぇ』


「十分な準備をしたよ。最強の力を手に入れた・・・それが、うら、裏切りなどで・・・」


 すでに統治の目がうつろになってきている。


『やめろ!』


 統治の指がトリガーに触れた。

 しかし銃弾は発射されなかった。

 十一人の統治、全員の手から、銃が落とされていた。


「まにあった」


 ハイスピードの背に乗った範子が嘆息を吐いた。

 範子の小銭の攻撃が、同時に11人の銃を落としたのだ。


「おおの、れえぇぇ・・・」


 統治は喉の奥でうめくような声を出すと、一人に戻って倒れた。





 全てが終わって、統治他ネクスター4人と一命を取り留めたバディビルは救急車で運ばれていった。


「スパークリングとパイルマニアは出てこなかったな」


 インフィニティのマスクを外して、京介が誰に聞くわけでもなく呟いた。


「危険を察してトンズラしたんじゃねぇの?」


 ハイスピードが応えた。


 ここにいる人間は最上階での出来事を知らない。


「範子さんもありがとう。でもなんで協力を?」


 あれだけ嫌がっていたのに。

 京介の問いに範子は瞳と顔を合わせて少し悩んだ。


「・・・今となっては、どうでもいいことかもね」


 範子はあの崩壊した街のビジョンこそ夢か何かだったのだと思うことにした。


「そうそう、あれはなかったこと、でいいんだ」


 聞きなれない声がした。

 その場の全員が声のした方に振り向くと、あの結末の後に出てきた謎の青年が立っていた。


「やるな、たった3人で本気で結果を変えちまうんだから」


 赤毛の切れ目というより三白眼の青年が満足そうに笑みを浮かべた。


「何者だ?」


 ハイスピードと京介が警戒に入った。


奈月(なつき)(まどか)・・・そうだな、とりあえず・・・ラスボスだ」


 奈月円の瞳に光が灯った。




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