スマート裁判
掲載日:2026/04/03
近未来
どんな軽い罪でも厳罰が科されるようになった。
犯罪は減るはずだった。
だが現実は逆で、違反者は増え続けた。
細かすぎる法律のせいで、ほとんどの人間が「何かの罪」に当たったのだ。
裁判は追いつかない。
そこで政府は、スマートフォンで簡易裁判を行う仕組みを導入した。
画面に表示された証拠を見て、
「有罪」か「無罪」をタップするだけ。
有罪が一定数を超えると、即座に処刑が執行される。
人々は気軽に裁判をこなすようになった。
通勤中も、食事中も、次々と判決を下していく。
ある日。
男は歩きながら、いつものように判決を下していた。
「有罪」
その瞬間、肩を叩かれた。
「歩きスマホ違反です」
男は顔を上げた。
警官がスマホを差し出している。
画面には自分の姿。
投票は、すでに始まっていた。




