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ほぼ八つ当たり


我が国には、二人の王子と三人の王女がいる。

ヒロインは第三王女。蝶よ花よと育てられた末っ子のお姫様である。

同じ末っ子なのに、オリビアの可愛げのなさは一旦置いておく。


大層可愛がられ甘やかされた王女は、社交界でも度々話題に上がる。

もっとも頭を悩ませているのは、陛下と王太子殿下。ついでにオリビアの父である宰相閣下。


なんでもものすごく惚れっぽく、気に入った者は立場に関わらず傍に置きたがるらしい。

もちろんすべてを叶えることはしないが、可能な限りは応えるというのだから、まあ陛下たちもどうかと思うが。


器量はいいが、あまり頭はよろしくない。ゆえに、他国に嫁に出すのはちょっと憚られる。

とはいえ、国内の有力家だって馬鹿じゃないので、不良債権など引き受けたくない。


そういうわけで、オリビアと同じ十六歳の王女は、未だに婚約者候補すらいない。

あちこちで惚れた腫れたしていれば当然である。

しかも、王女とはいえ第三王女。権力も影響力もほぼない。


頭脳明晰と名高い第一王女や、服飾デザイナーとして活躍する第二王女の方が、よほどいいに決まっている。

二人とも、現在は婚約者候補との交流の真っ只中。えげつないくらいモテまくりである。


王太子殿下も冷静沈着かつ有能で、第二王子は外交に強く隣国の王太女への婿入りが決定している。

みんな優秀すぎて、第三王女の異質さがすごい。


「お嬢様、調査報告書が上がってまいりました」


「ありがとう、ゼノン」


すっと音もなく近寄り、報告書を手渡した護衛騎士に、オリビアは微笑んで礼を告げた。


褐色の肌に黒髪、金色の瞳が鋭く印象づける彼も攻略対象者、人気ナンバーツー。

ぺろっとネタバレすると、暗殺から身を隠すため、我が国に潜伏する南方の国の側室腹の王子様である。あるある。


国に許嫁がおり、彼のルートももれなく略奪。

いや、そういえば乙女ゲームは略奪が基本か? よくわからなくなってきた。


ゼノンのルートに入れば、彼は祖国に戻って王位を奪取し、ヒロインを迎えに来る。

王位簒奪を企てるから、他国に隠れなければならなくなるのでは。


ヒロインがゼノンを選ばないなら、彼はこのまま護衛騎士として仕えるが、悪妻オリビアの企みをヒロインに告げ口する二枚舌。

殺されそうになるの、たぶんそういうとこだぞ。


「ええ、上出来だわ。ロビン」


「はい。お嬢様」


「こちら、ディファンお兄様にお届けして。差し上げますと」


素直に頷いて出て行く彼、執事のロビンも、実は攻略対象である。

ちなみに彼は隠密の一員だ──と彼自身は思っている──が、歴とした暗殺者。

ゼノンの監視のため、祖国の王家に雇われている。よそでやれよそで。


二人は中身を知らないが、この報告書は我が家の隠密(前世で片目疼く系女子だったオリビアの趣味)によるもので、素性や罪状が明記されている。


なので、お兄様に片付けていただくことにした。

手柄はすべて差し上げるので、よしなにやっていただきたい。


身分偽証、密入国、不法就労。大国である我が国では、割と大罪である。

おそらく、揃って祖国に返品されることだろう。簒奪、できるといいね。罪人としての強制送還だけど。


それにしても、攻略対象者をオリビアの周囲に置きすぎでは。どんだけオリビアを断罪したいんだ。

ちなみに、オリビアはすべての攻略対象者ルートでの悪役である。勤労がすぎる。


さて、この後は氷華の君(笑)との茶会だ。

三ヶ月後の婚姻に向けて、交流を深めよとのお達しなので、程々に頑張るとしよう。




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