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MORE THAN BLOOD  作者: 藤倉崇晃
ゲームの顛末
7/19

アンデット化

渉は河川敷で、男性の人影を見つけた。




男性の人影は、




「もしかして順子ちゃんの知り合いかな?」




と言う。




渉は、




「お前は誰だ?順子に何の用だ?俺は!殴り合いのできる全く新しいタイプの陰陽師!順子を狙う奴は許さん!」




と言った。




「俺は吸血鬼シグネチャ…!順子ちゃんは面白い人と知り合いだな…!」




シグネチャは当てが外れて苛立っていた。やってきた渉はただならぬ気配だ。尻尾を巻いて逃げる事は性に合わない。それで名乗ってみたのだ。渉がゲームを妨害できる実力者だと直感でそう思った。渉は強そうだ。




「吸血鬼…?悪い魔法を使っているって言ってたぜ?順子の友達を元に戻せ…!順子を狙うな…!」








渉はそう言うと、一瞬で間合いを詰めて軸足を踏み込むと、蹴り足でシグネチャの頭部を狙った。




「七変化☆一式」




しかしシグネチャは、渉の蹴り足をギリギリで躱した。シグネチャは無傷だ。




「…面倒な奴」




ギリギリで無傷だったシグネチャは、渉を河川敷に置いて走って逃げだした。尻尾を巻いて逃げる事は性に合わないが、無駄に闘っても仕方が無い。勝っても犯罪クレジットに殺人が計上されるだけで利点が無い。ただゲームを妨害できる実力者である事は間違いなさそうだ。




渉は追いかけたが、直ぐに見失ってしまった。




その後、路上で吸血鬼ストラクチャに暴行された太郎は病院に搬送され、搬送先の病院で手当てを受けた。ただ病院はアンデットウォーリア教団の息のかかった病院だったため、ベッドで寝ている太郎を尻目に、




「最適な人材が搬送されてきた…!教団に連絡して人体改造手術を受けて貰おう…!」




と病院の院長は言う。




太郎は、




「順子は…無事ですか?」




と言う。




警察官は、




「通報してくれた女の子は無事だよ。これに懲りたら路上で喧嘩なんてするんじゃない」




と言った。




太郎は骨折が3箇所あったが、病院側の人間が隠蔽し、警察に軽い怪我だと言い張った。また見ていた人の話で喧嘩と断定された事もあり傷害事件にはならなかった。警察も加害者を捜査しないという。




警察官が返ると、病院側の人間は、




「間抜けな警察官だ…」




と言う。




病院側の人間が太郎に、




「…強くなりたいかい?」




と言う。




太郎は、




「あんな悪い魔法使いがいるとは知らなかった…体を鍛えても無駄だなんて嫌だ…強くなりたい…親父にも勝ちたい…渉にも勝ちたい…」




と言う。




病院側の人間はニコッと笑って、




「君はアンデットウォーリアになる!!!」




と言うと、太郎を麻酔で眠らせた。




院長は、




「ただちに人体改造手術をする!哀しい事があったんだ!絶対にアンデットウォーリアにしてあげる!」




と言った。




そして人体改造手術が行われ、太郎はアンデットウォーリアになった。




太郎が人体改造手術を受けた日の晩、渉は順子と合流し、祥子の家に行くと、陰陽術を使って祥子にかけられた「誘惑の魔力」を解除した。




順子は、


「渉ちゃん。ありがとう。渉ちゃんの、悪い魔法を解除したり、私の恋人まで助けてくれたりする所は好きだよ」


と言った。




祥子は、


「渉さん!悪い魔法使いがいるんです!腕を掴んで、光る眼と目が合うと身体を乗っ取られたように、アイツの言うことを聞かなきゃいけなくなるんです!」


と言った。


祥子は、渉や太郎を毛嫌いしていたが、大切な情報だと思って説明した。






祥子を襲った悪い魔法使い


順子を襲った悪い魔法使い


どこかへ連れ去られた太郎


渉は、よくない事が立て続けに起きてしまったなと思った。




渉は、


「順子。俺は、敵の正体を掴めるまでしばらく順子と一緒に行動する。祥子さんは学校を休んでいてください。一度に二人は守れません」


と言った。




翌日。アンデットウォーリアになった太郎は教団側の人間に引き渡され、教団の施設で暮らすことになった。

太郎は携帯電話を持っていなかった。

太郎の父親の是清には手紙が一通届いただけだった。




「親父へ 


 強くなるための旅に出ます。


 学校を辞めて、お袋には申し訳ない 太郎」




数日後。太郎は教団の施設で、北海道本部からやって来た秋山びぃご、ジャール・プチーツァと対面した。




太郎は、修業中の技を披露した。




「安藤流一撃空手・奥義改・アルティメットハンマー!」




太郎は正拳の打ち下ろしで厚さ20cmの鉄板を貫いた。




ジャール・プチーツァは満足そうに、




「お前がこの世で一番強い。あるいはそう思っていろ」




と言う。




太郎は、




「ジャール・プチーツァさん…俺…ここで修業を続けて教団の『革命』を成功させます。恩返しです」




と言う。




ジャール・プチーツァは、




「大人の都合まで気にするな…心の中の恋人を大切にしていろ…」




と言う。




「恋人じゃないです」




「恋人って言うんだよ…守りたかった女の子は…深く考えるな…お前はもう結ばれた…精神世界でしっかりと結ばれているぞ…何も求めるな…ただ強くあれ」




主任研究員の秋山びぃごは、




「やっと成功したな。完全なるアンデットウォーリアだ」




と満足気だった。




ジャール・プチーツァは、太郎が貫いた鉄板に手で触れると、握力で紙屑のように千切って握り込んだ。




バキバキッ!




「アンデットウォーリアは肉体の潜在能力を100%引き出せる」




握り込んだ鉄屑を太郎目掛けて投げつけた。弾丸より速い鉄屑。




バシッ!




太郎が右手でキャッチすると右手の平から血が噴き出た。しかし1秒を待たずに血が止まると、痛みも消えた。




ゴトッ…!




鉄屑が床に落ちると鈍い音がした。




「脳を潰されない限り傷も直ぐに治る」




太郎は、




「順子もアンデットウォーリアにしてください」




と言った。




ジャール・プチーツァは、やれやれという顔をしたが、秋山は、




「…その為には定期的に実験体になって様々なデータを取らせてもらう」




と言った。




ジャール・プチーツァは、




「お前は貴重な私の同胞だ」




と妙に濁していた。




渉は、東京の吸血鬼コミュニティが始めたゲームの一部である事を知らない。敵は5人。襲われている百合っ子は東京中に沢山いる。太郎がアンデットウォーリア教団に勧誘され、アンデットウォーリアになった事も知らない。

ネオページで連載中の作品一覧


「MORE THAN BLOOD」

https://www.neopage.com/book/30874543123193800


「また君に会うための春が来て」

https://www.neopage.com/book/30065518320038800

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