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MORE THAN BLOOD  作者: 藤倉崇晃
プロローグ
5/19

殴り合いのできる全く新しいタイプの陰陽師

わたるは、東京の男子高校生だ。見た目はごく平凡な男子高校生の渉には秘密があった。渉は、殴り合いのできる全く新しいタイプの陰陽師だった。陰陽師として陰陽術を使える一方で肉弾戦にも優れた実力がある。




ある日、渉は他校の不良たちに河川敷に呼び出された。




不良のリーダーは、




「お前がよぉ!喧嘩が好きなのはわかったんだけどよぉ!俺達は腕比べしてる集団じゃねぇんだよぉ!家が貧しいから、裕福な家のガキから金せびって人間らしく青春してんだけどよぉ!」




と恫喝した。「お前」とは渉の事だ。渉は、喧嘩が好きで、不良なら殴っても構わないと思って不良達の集団をみかけては一方的に躍りかかって打ち据えていた。




渉は、




「お前らが何と言おうと、俺は殴り合いのできる全く新しいタイプの陰陽師だ!社会のゴミは始末しねぇとな!」




と言う。




不良のリーダーは、




「悪いけどよぉ!いまだにそんな戯言を言って下がらねぇんならよぉ!コイツでお前の目玉を…」




と言う。




シュイーン…!!




不良のリーダーは工事現場から盗んできた電動ハンドドリルのスイッチを入れて威嚇した。




「お前のようにそれなりの家に生まれて道楽で身体を鍛えている奴が、俺らみたいな貧困層を痛めつけて遊ぶんなら、お前に目玉は要らねぇに違いねぇ!!!」




不良のリーダーが吠えると、黙って見ていた不良たちが一斉に渉に襲い掛かった。




ワアァァァァアア…!




「捕まえろ…!生きたまま目玉を潰す…!弱者を思い知らせる…!」




しかし渉は強かった。




雪崩を打って攻め込んでくる不良たちを蹴りと一瞬の立ち関節技で容赦なく破壊する。




ドカッ…!




バキッ…!




渉に敵わない不良たちが一人、また一人と地面に突っ伏した。




渉は強い。




余裕綽々の渉は、




「あれ!やってやるよ…!」




と言うと、一人の不良を選んでアームロックという立ち関節技をかけると、




「…からの!」




と言って、アームロックをかけた状態で、柔道の大外刈りという投げ技をお見舞いした。不良を地面に叩きつけた。その際、自分の身体も浴びせた。




バキーッ!




不良の上半身の骨が砕け散った。




見ていた不良のリーダーは痺れを切らして、




ドルゥウン!




750ccバイクに跨ると、




「ふぅ…!ざけんな…!これで半殺しにしてやる…!」




と言い、渉を目掛けて突っ込んで行った。




バリバリバリ…!




ダダーンッ!




不良のリーダーの乗った750ccバイクが不良たちをかき分けて渉に激突した。




渉は10メートル程吹っ飛んだ。




勝負ありか。




しかし。




「…陰陽術が…間に合ったぜ?」




渉は何事もなかったかのように立ち上がると、




「魔装機☆一式」




と言った。陰陽術の「魔装機」とは身体が鋼鉄のように固くなる術だ。一式とは硬さのレベルが第一段階という意味だ。二式、三式となるにつれて硬度が上がる。




750ccバイクで突っ込んで自分も負傷した不良のリーダーは、




「…反省…しねぇ気だな…俺達の事…馬鹿にしやがってよ…」




と言う。




渉は、




「お前が頭なんだな!いまあの世に送ってやる!」




と言うと、次の瞬間、まるで瞬間移動のように一瞬の脚力で10メートルの距離を詰める。




ドカーッ!




そして大地を踏みにじるような軸足の踏み込みと同時に、もう片方の蹴り足で不良のリーダーを蹴り上げた。




「七変化☆一式」




陰陽術の「七変化」とは身体が動物の特性を帯びる術だ。一式とは馬の特性を帯びるという意味だ。




不良のリーダーは要するに、馬に思いっきり頭を蹴られたのである。




血まみれになった不良のリーダーの頭部が体幹から脱離し、空中を彷徨った後、行く当てもなく地面に転がった。




頭と胴を切り離された不良のリーダーの身体もドサッと地面に仰向けになる。




河川敷に集まった不良たちは、




「ひっ…!人殺し…!…ヒトゴロシ!!!」




と叫び散らかして逃げて行った。




渉は、




「警察が来る前に帰らないとな!相手が悪いとはいえ!しかし俺は、殴り合いのできる全く新しいタイプの陰陽師だ!」




と言って、現場を後にした。

ネオページで連載中の作品一覧


「MORE THAN BLOOD」

https://www.neopage.com/book/30874543123193800


「また君に会うための春が来て」

https://www.neopage.com/book/30065518320038800

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