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四十九小節のカノン  作者: 雪白鴉
7/13

8日目 あだな

今回はみんな大好きあの曲です!


 今日の曲は驚くかな。


そう思って持ってきたんだけど、そうでもなかった。こういうのも弾くんだーくらいで、ちょっとさみしくなった。


「学生はみんな好きなんだけどなぁ」

「確かに〜。何かとみんな弾きたがるよね」


今日、僕が持ってきたのはみんな大好きシューベルトの声楽曲「魔王」。中学時代に聴く人がほとんどで、そこから知らない人なんて誰もいない。


合唱曲以外覚える気のない人でもこの曲だけは覚えているし、なんならピアノの音すら覚えている。


「この楽譜、一年の頃に音楽の先生にもらってたんだよ」

「へ〜、先生って持ってるんだ〜」

「うん」


みんなが弾きたい弾きたいというものだから楽譜が自分も欲しくなって貰った。


といってもはじめの方はみんなが何故かわかっていて楽譜見ていないのにちゃんと弾けていた。

ソだっけ、ラだっけ、ソってまずどこだっけ、なんて話しながらやっていたのを思い出す。


「そういうのやるの男子がほとんどだったんだ〜。私たち女子はなにやってんだが状態で」

「女子は興味ないんだよ。それに、女子のほうがピアノ弾けるイメージあるし、実際女子ばかりがピアノ習っていて、男子でピアノ弾けるの僕だけだったし」

「先生からも合唱コンクールとかまず真っ先に女子に話がいくよね〜」


まったく偏見は迷惑なものだ。

まぁ、僕にとってはどうでも良いことではあったが。


「それにしてもよく弾けるね〜」

「まぁ、ちょっとした余興になるし」

「難易度設定されてるんでしょ?」

「まぁね」


シューベルトの曲は難しいものから簡単なものがある。中でも「ます」という曲は初級といわれる。


そして、なによりシューベルトの曲は歌曲が多いことだ。彼の歌曲は六百あるといわれている。


「シューベルトって、歌曲の王って呼ばれてるんだよね?」

「そうそう。よく知ってるね」

「でっしょっ!!」


その歌曲の多さからシューベルトの別名はそのまんま、「歌曲の王」。あだ名はなんとなく可哀想だとして、この別名はひねりがなさすぎて普通でちょっと可哀想。


「ねね、唯月君のあだ名ってなに?」

「あだ名?」


そう言われてみるとあだ名が思い浮かばない。注意して聞いたこともなかったので余計わからないかもしれない。 


「・・・ないかも」

「えー!つまんない!!」

「つまんないってことはないでしょ!!」

「だって思いつかないんだから」

「一つや二つあるでしょ!?ほら、おばあちゃんとか妙な呼び方するしー」


これも偏見だが、確かに優しいおばあちゃんとか、男の子でも◯◯ちゃん、とか言ってるイメージが強い。

が、残念ながら僕の祖母はどちらも唯月か唯月君である。


「つまんないーー!!」

「あだ名がないからって・・・。じゃあ君はどうなんだよ!!」


ずっとこっちが回答者ではつまらない。そちらも答えていただきたい所存だ。


「・・・・・・ないかも」

「それで僕に言える!?」

「私だって考えたことなかったもん!」


あんなに聞いてきたりつまんないとか言っていたのであだ名くらいあるかと思っていたが、まさかの本人も無かったとは思わなかった。


「おばあちゃんが呼ぶのは?」

「・・・覚えてない」

「えー・・・あっ」


あまりのぬけっぷりに僕は盛大に「魔王」のソの音を外した。




シューベルトのあだ名ですが、「シュヴァンメル」(小さなキノコ)だそうです。個人的な感想ですが、キノコには見えないです・・・。昔はキノコみたいだったのかもしれませんね。

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