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四十九小節のカノン  作者: 雪白鴉
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プロローグ

 こんにちは、雪白鴉です。

本作は三作品目です。短編連載作品ですが思いのこもりにこもった青春ラブストーリーです。コメディ要素はあまりありませんが初心な中学生たちのほっこりとするお話と音楽が生み出す赤い糸が繋ぐ生命の物語です。どうぞ御覧ください。

 

 木漏れ日の射す音楽室。

 綺麗なピアノの音色が響く中、私の目は永遠に閉ざされた。




 僕にとって楽譜は人生だ。

たった一小節はその日一日。その一小節は一日のためだけに作られる。僕ら演奏家は、正解のない人生を楽器とともに歩んでいく。すなわち、音楽に正解なんて無いんだ。


芸術作品だってそうだ。

芸術は爆発だとか言うのも最もだ。音楽だってたかが芸術。音楽だって爆発だ。優しいのも遅いのも、難しいのも速いのも、一曲一曲、同じものなんて無い。捉え方が違うし、演奏家によっても違う。


楽譜にはこう書いてあるけどそれに共感できなかったらそっちのけで自分が思ったようにする。ただ、課題曲とかはほとんどバレるから思い通りに出来ない。

 でも僕は、そんな演奏家じゃない。

コンクールにも出ないし、コンサートも開かない。

賞状なんて貰ったこともないし興味もない。どうせ後々、過去の栄光に縋るだけなんだ。


 僕は好きで演奏しているだけなのに比べる意味があるのかどうかも良くわからない。音楽にも美術にも正解なんてあるわけ無い。

 ただ、気に入られるか気に入られないか、それだけなんだ。


 始まりはなんとなく。ただ音楽が好きだっただけ。それと家にピアノがあっただけ。ピアニストになりたくてやっていたわけじゃない。誰かのためにやっていたわけじゃない。医者とか目指している人のほとんどは、自分が病気になったからとか家族が病気で死んだとか、テレビで病気の人を見たとかそんな感じだと思うけど音楽とか美術は好きだからっていう人が多いはずだ。だから芸術は爆発するんだ。


 誰も居ない音楽室でピアノを弾くのは楽しい、というかなんか心が安らぐ。夏はちょっと暑いけど秋は涼しいし暖かい風が吹く。まるで僕の音色に合わせているように風が吹いてカーテンが揺らぐ。夕焼け色に染まる晴天の空は僕の気分を変えてくれる。クラシックもいいけど童話だっていい。秋は秋らしい曲が似合う。真っ赤な空は僕の手を動かすんだ。


 ただ、僕は何も知らずに。






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