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第9話 私の決意

「メイちゃん…これからよろしくね」

「はぁい。こちらこそよろしくです。ちはるさん」



 このあとも、メイちゃんに乙女ゲームのいろはを教わった。というより、メイちゃんに過去の男(推しというらしい)との馴れ初めから落とし込むまでの手腕を叩き込まれた。作品やキャラクターによって、キーとなるモチーフや思い出の場所があるらしい。また、絶対に逃してはならない分岐点というものがあり、メイちゃんレベルになると大抵は見抜けるそうだ。


 ずいぶん長く話し込んでいたらしく、マリーとサリー、キャリーとハイリーが心配して私たちを見にきた。どうやら、4人のところに司祭様から連絡があり、明日の9時に教会に来るようにと伝えられたらしい。聖女の役割について説明をしてくれるそうだ。


「そりゃそうだ。何をするかも説明しないまま聖女として契約させようったって、そうはいかないんだから!」

「明日はぁ司祭様からいろいろ聞き出してぇ、この世界が乙女ゲームの世界なのか確かめてやろうぜぇ!」


 いえーい、とメイちゃんと拳を合わせて気合を入れる。最後に、メイちゃんといくつか今後の方針を決めた。その中で1番優先すべきは、好きな人ができたらお互い早めに連絡することだ。これは、狙う人が被ることほど無駄なことは無い、というメイちゃんの力説によって決まった。少しドキッとした時点で報告することが重要らしい。他にも気をつけるべきことはあったはずだが、夜中のハイテンションに突入した私たちにはそれが1番大切であった。

 メイちゃんは、とりあえず全員の好感度を上げるように動いていくとのことだ。私は、この世界の環境や常識に慣れていくところから始めるつもりだ。何が重要になってくるか分からないから、定期的に情報交換(という名のパジャマパーティー)をしようと言うことで落ち着いた。

 放っておくと話を続ける私とメイちゃんに呆れたキャリーとハイリーによって、最終的にメイちゃんは隣の部屋に連行されていった。



 もう夜中の1時ですわ、とぷりぷりしたマリーとサリーが片付けをしている間に、私はお風呂に入れられた。私は1人になって、ようやく冷静さを取り戻した。1人でお湯に浸かっていると、いろいろ考え込んでしまう。


メイちゃん、トラックに轢かれたって言ってたな。私もここにいるってことは、黒い何かに食べられて死んじゃったのかな。


仕事はしんどかったし、休めるのは嬉しい。でも、急に居なくなって先輩に迷惑かかってないかな。


連絡取れなくてびっくりしてるかな。ともだちも。親も。死体が無いから行方不明者になっているのかな。


おかーさん、おとーさん。急にいなくなって……心配かけて……ごめんなさいーー



 長風呂を心配してマリーとサリーがお風呂のドアをノックする。私は湯船に顔をつけてあーー!! と叫ぶともう上がりますーと返事をした。


 私は、もう、生きて過ごせたらそれでいいや。もう会えないけど、父と母に心配をかけないような生き方がしたいな。どうにか食いっぱぐれないような手に職はあるみたいだし。地道に「聖女」として働こう。



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