表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

第26話 オジ様

「板川様! お待ちしておりました」



「火の儀式にも招待して頂きありがとうございます。殿下のご配慮で、しっかり休むことができました」

「それは良かった。ところで……後ろのものは?」

「差し入れです。午後からの準備に参加できなかった分、軽食と冷たい飲み物を用意したのです。ご迷惑でなければ、どこかに置いて頂けますか?」

「お気遣い頂きありがとう。ぜひ皆で頂こう。グラント、食事スペースへ2人を案内してくれ。……しかし、この量だと準備が大変だったのでは? 本当にしっかり休めましたか?」

「ええ、専任料理人にお願いしたのです。全て彼らが用意してくれました。優秀な人達を選んで頂きありがとうございます」

「……板川様には何度も驚かされます。この世界に来たばかりなのにこんなにも馴染めているなんて」



 特に驚かせるような事はしていないけどな。私の頭の上に疑問符が浮かぶ。王子の後ろで控えていた側近の人も、王子の言葉に続いてやたらと私を褒めだした。



「王や私だけでなく、騎士団の方々、それ以外の者達も、板川様に対して何の違和感もなく、自然と敬うべき聖女として接してしまうのです。それは誰にでも出来ることではありません」



 急に褒められて、顔がどんどん熱くなる。嬉しいけど、嬉しいけど、どうして急に!? 手でぱたぱたと顔を扇いでいると、騎士の1人が近づいてきてこそっとクレイン王子に耳打ちした。するとすぐに、王子達一行は儀式の時にまたお会いしましょう、と言うと去って行ってしまった。一瞬で私は1人になってしまった。さて、どうしたものか。マリー達を探しに行こうと辺りを見回していると、後ろから声を掛けられる。



「何かお探しですか聖女様? 俺に何かできることはありますか?」



 振り向くと、マントを羽織った髭のオジ様が胸に手を当てて立っていた。かっこいい。なんとなく、クレイン王子に雰囲気が似ている気がする。



「……あの、マリー達を探していて。差し入れの食事を置きに行ったので、食事をするスペースにいると思うんです……」

「マリーちゃん? 食事なら俺の隊の方だろう。ご案内しますよ」

「ありがとうございます!」



 オジ様にさっと手を出されて微笑まれると、私の手はオジ様の手の上に吸い寄せられていた。ああ、デジャヴ。しかし、これは不可抗力だ。イケメンがエスコートしてくれるっていうのに、断る事ができようか。

 しばらく歩くと、いい匂いが強くなってきた。スパイシーな匂いが食欲を刺激してくる。私は、差し入れを見た時からお腹が空いているのを我慢している。とても美味しそうだったが、当然見て運んだだけだ。



ぐーーきゅるる



 だめ。お願いだから、今はやめて……! 宿主の思いも虚しく、私の腹の虫は自分の欲望に素直なやつだった。隣からくすくすと笑う声が聞こえる。恥ずかしい……。



「お腹空いてるの? かわいいなー。俺の隊が料理担当でね。今日は聖女様が来るっていうもんだから、いつもより張り切って作ったんだ。是非食べて頂きたいな」



 今日のメニューはね……、と次々にオジ様がこだわった食材や調理の仕方、味付けについて教えてくれる。ああ、美味しそう。そして、楽しそうに話すオジ様が可愛い。たまらん。



「千春様!」

「まあ! カルロ様もご一緒ですの?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ