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第13話 気付き

「いいえ。お二人には納得して、長く聖女になって頂きたいですからーー」



 くたくたになったメイちゃんと部屋の前で別れる。メイちゃんは、もうお風呂に入って寝るらしい。私は部屋で待っていたマリーとサリーに、何か書くものはないか尋ねる。教会で授業がされるとは思っていなかったから、何も記録するものを持っていかなかった。せっかく授業を受けたのだから、復習して覚えておかないと。2人はすぐにノートとペンを用意してくれた。ついでに、勉強しながらでも食べられる軽食を用意してくれた。2人はとても気が利いて、本当にありがたかった。

 内容を覚えているうちに! とノートに書き殴っていく。まず、私は何をしなきゃいけないのだろう。魔法は、王様の許可を取って魔法学校を卒業しなきゃいけないから後回しだ。とりあえず、すぐにできそうなのは祭壇で祈って聖霊を増やすことと、魔木の浄化だろうか。祈るのにも作法があるのかな? 浄化は祝詞を覚えるだけでいいのかな? 確か道具を使うとも言っていたな。そもそも、私に聖女パワーはあるのだろうか。こちらの世界に来たこと以外は、私自身には全く変わりがない。



「こんなもんかな」



 覚えていることはとりあえずメモできた。明日、内容に間違いや抜けていることがないか、メイちゃんに見てもらおう。そういえば、司祭様は王様の秘書さんに授業のこと頼んでくれたかな。次の授業はいつになるのだろう。司祭様も王様たちも、すぐに聖女聖女と急かしてきたから、すぐだろうか。さすがに明日ではあるまい。でももし、明日に授業をすることになったら、結構切羽詰まった状況ということだろうか。次の授業は王様の秘書さんがしてくれるし、聖女業の労働条件について交渉してみよう。

 私はお風呂に入って、あまり遅くならないうちに就寝した。いっぱい歩いてたくさん頭を使ったためか、私はすぐに眠ってしまった。



「「おはようございます。千春様。起きてくださいまし」」



 今日もマリーとサリーが起こしてくれる。今は何時だろうか。昨日はたくさん動いたから、スッキリと目が覚める。



「今朝は、見城様とご一緒に朝食を召し上がってはいかがかと思いまして」

「キャリーとハイリー曰く、昨夜の見城様は大変お疲れの様子で、今もまだ眠っておいでですわ」

「千春様のお部屋にお二人の朝食を準備して、見城様をお招きしてよろしいでし?」



 メイちゃんには昨日のノートを見てもらうつもりだったし、2人の提案には大賛成だった。朝食の準備がある程度ととのうまでゆっくりしていて下さいまし、と2人はベッドルームを後にした。

 さて、今日はメイちゃんと朝食を一緒に取った後は何をしようか。中庭の祭壇を見に行ってみようか、それとも、図書館があればこの王国や聖女について自分でも調べてみようか。少しでも、この世界のことを知らなければ。聖女についてもっと知れば、この世界が乙女ゲームなのか分かるかもしれない。でも、乙女ゲームの世界だったらいいけど、そうじゃなかったら……私たちはどうなってしまうんだろう。



「千春様。起きていらっしゃいまし?」

「そろそろ身支度を始めますわ」



 私が考え込んでいると、マリーとサリーが呼びにきた。着替えている間に、今日は中庭か図書館に行きたいと2人に伝える。どうやら図書館はお城の中にあるらしい。教会よりは近いところにあるか確認すると、2人は笑って隣の棟だと答えてくれた。サリーが今日は天気が良いから、中庭に行ってみては? と提案してくれた。どうやら明日から天気が崩れるらしい。天気といえば、私は2人に流星群とはどういうものか聞いてみた。



「流星群でし?今はもう時期が過ぎましたわ」

「毎年、夏と冬によく流星群が落ちてきますわ」

「今年の夏はなかなか被害が大きかったみたいですわ」



 やはり、流星群は落ちてくるらしい。お城に被害は出なかったのかと尋ねるが、騎士が流星群から守っているようだ。地方になると、騎士の取りこぼしが多くなって被害が出るらしい。特に最近は流星群の量も、回数も増えて被害が大きくなっているようだ。……世界の危機のせいだろうか。季節性とは……台風みたいだな、王国にも四季があるのかーなんて考える。あれ、春夏秋冬って日本のオリジナルじゃないんだ? 別の言い方とかしないのか。



「……あれ?」



※流星群のくだりは6話参照

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