表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

第11話 教会

「あの、少し休憩しませんか?」



「……えぇ。その方がよろしいようですね。さぁ見城様! こちらにハンカチを敷きましたので、どうぞお掛けくださいませ」

「イズラエルさんありがとうございますぅー。千春さんもありがとうございます。私歩くのも遅くってぇ、迷惑かけちゃって……」

「いいよ。ヒール大変だったんじゃない? 私もこんなに歩くと思ってなかったよ」

「すみません〜。千春さん、体力あってすごいですぅ。何かスポーツとかしてたんですかぁ?」

「あー、バレーボールをね。大学までしてたよ」

「すごい! 千春さん背高いしピッタリですねぇ」

「うん。部活だったから結構ガッツリやってたよ。怪我で辞めちゃったんだけどね」



 この世界にもスポーツはあるのか、司祭様に聞いてみる。バレーボールというのは初めて聞いたが、球技はいくつかあるとのことだ。もしかしたら、バレーボールに似たスポーツもあるのかもしれない。こちらの世界のスポーツの話で盛り上がった。しばらく休憩した後、再び歩き始める。


 

 見覚えのある真っ白な階段が、目の前に広がった。一言も発していないのに、メイちゃんの表情からは、もうこんなにも疲れているのに、まだこの階段を上がらなくてはいけないのかと絶望している様子が伝わってきた。その顔を見た司祭様は、クスリと笑うとメイちゃんに話しかけた。



「見城様、安心してくださいませ。この階段を上がる必要はございませんよ。聖エルハンブル教会はちょうどこの階段の裏にございますから」



 よかったーと心底安心したように言うメイちゃんの様子がおかしくて、私もくすくすと笑いが止まらなくなる。ようやく、教会に着いたのだ。結局1時間近くかかったのではないだろうか。自分のペースで歩けないというのも、なかなか疲れるものだと知った。

 私たちは階段をぐるっと回り込んで、聖エルハンブル教会の正面に来た。教会の正面からは、教会の入り口のはるか上に、召喚の儀式が行われた神殿があるのが見えた。教会は階段の裏側にあって、崖を削って造られているようだ。教会は召喚された神殿と雰囲気が似ていて、ギリシャ神殿のような真っ白な柱が何本も立っている。

 中に入ると、洞窟のようにヒンヤリとして涼しかった。外からも見えていたが、真正面には大理石でできた巨大な像が鎮座していた。司祭様が教会内を案内してくれて、巨大な像は言い伝えにも出てきた聖霊王だと教えてくれる。一通りの案内が終わると、私たちは外側の廊下を奥に進んでいった。私は規則的に並んだ柱を眺めながら、お腹空いたなぁと考えていた。

 小部屋に案内されると、司祭様は昼食を出してくれた。時計が無くて分からなかったが、今は12時過ぎらしい。道理でお腹が空くわけだ。教会のシスターたちの食事を分けてもらったようだ。司祭様は質素で申し訳ないと言っていたけれど、庶民の私には何も問題なかった。コンソメ?スープとパンは十分においしかった。お腹が膨れて休んでいると、またしても移動するらしく、さらに廊下を進んだ1番奥の部屋に案内された。その部屋はまるで小学校の教室のようだった。可愛らしい小さい机と椅子が並んでおり、1番前には黒板もあった。



「わぁ! なんか懐かしい! 小さーい!」

「お二人とも好きなところにかけてください」

「学校みたぁーい。えー、まさか授業でもするんですかぁ」



 小学校のような見た目に私のテンションは上がっていた。何年振りにこんな小さい椅子に座っただろうか。少し足が窮屈だったが、それが逆に良かった。楽しんでいる私と対照的に、現役で授業を受けている大学生のメイちゃんには、このありがたさがまだ分からないようだった。この場所は、ときどき子供たちを集めて勉強を行う、本当に授業を行う場所らしい。2人で並んで前の席に座る。イズラエル司祭様は教壇に上がるとにっこり笑った。



「そのまさかでございます。今から聖女についての授業を行います」

「いえーい」「えぇー」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ