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第10話 教会への道のり

私は、地道に「聖女」として働こう。



 いつの間に眠っていたのか、マリーとサリーに起こされる。パンのいい香りが寝室まで漂ってきていて、鼻から起きろと促してくる。まだ昨晩のアンニュイな気分が残っていた私は、メイちゃんと一緒に朝食が取れないかマリーに尋ねてみる。



「おそらくですけれど…すでに見城様は朝食を済ませていると思いますわ」

「キャリーとハイリーは、1時間前には朝食を持ってお隣のお部屋に伺っていたんですの」



 今はまだ7時だから約束の時間ギリギリじゃないし、大丈夫だと思ったのだが、出遅れていたらしい。昨日私たちが パジャマパーティを終えたのは夜中の1時を過ぎていたし、寝るまでの時間を考えると、彼女ももっと遅い時間に就寝したはずだ。それなのに、もう活動しているなんて。きっと、メイちゃんは王城内を探索しているに違いない。はたして彼女は何時間寝たのだろうか……。私は昨日食べられなかったパイ生地のパンを、サリーに取ってもらいながら考えていた。



 優雅に朝食を楽しんだ後、マリーとサリーに服と靴を準備してもらう。できるだけシンプルなものを選んでもらった。メドベーフィア王国では、成人女性は膝より下のスカートを着るのがルールだという。成人は17歳からで、マリーとサリーは昨年成人したらしい。成人の儀というお祭りが、毎年10月30日に今から行く教会で行われるようだ。教会は私が召喚された場所のすぐ近くにあるらしい。私は結構な距離があると見越して、動きやすいローヒールの編み上げブーツを履くことにした。約束の9時になる少し前に、司祭様が部屋まで迎えに来てくれた。



「おはようございます。見城様、板川様。本日は私、イズラエル・二ファーがご案内させて頂きます。よろしくお願いいたします」

「イズラエルさん! さっきぶりですね。こちらこそ、よろしくお願いしまぁす」

「よろしくお願いします。わざわざ迎えにきてもらってすみません」

「とんでもございません。さぁ行きましょうか」



 イズラエル司祭を先頭に歩き始める。私はさっそく、メイちゃんに今朝はどこに行っていたのか聞いてみた。



「メイちゃん、今朝は一緒に朝ごはん食べようと思ったのに、もう出かけましたって言われたよ。今もイズラエル司祭様にさっきぶりって……朝からどこに行ってたの?」

「ちはるさん朝ごはん誘ってくれてたんですかぁ? すみません! 色々お城の中を見て回っていたんですよぉ。そしたら、中庭でイズラエルさんに会って! ねぇイズラエルさん!」

「えぇ。城の中庭でお会いしたのです。私は朝のお祈りをしておりました。中庭には木や花の聖霊や、水の聖霊、風の聖霊など多くの聖霊が住んでいますから。」

「イズラエルさんがキラキラした光をまとって、本当に綺麗でしたぁ」

「見城様は聖霊の姿がそのように見えるのですね。流石でございます」



 あぁ、またイズラエル司祭様の誉め殺しが始まった。そして、メイちゃんが獲物を狙う肉食獣の目をしている。これは邪魔しちゃいけないなと、前の2人と少しずつ距離をあける。私は景色を楽しみながら歩いていた。

 いつのまにか、前の2人も無言で歩いていた。道のりは思った以上に長く、歩きやすいブーツを選んだ朝の自分に感謝する。司祭様にあとどれくらいかかるのか聞いてみる。今で2/3です、という返事にメイちゃんが悲鳴をあげる。メイちゃんはヒールを履いているせいで、なかなかしんどそうだ。歩くスピードもだんだん遅くなっていた。



「あの、少し休憩しませんか?」



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