僕が好きになった女性は、僕の未来の娘だった!
僕の名前は、浅霧ハヤテ 17歳、高校二年生だ。
僕は、これといって勉強もスポーツもできる訳じゃない。
ごくごく非凡な高校二年生の男子だと思う。
17歳の男子といえば? 女性に興味をもち
彼女がほしい年頃。
僕の周りでも、ポツポツとカップルが増えてきていた。
僕も、早くみんなの仲間入りをしたいところだ。
でも、なかなか僕が本気で好きになりそうな女の子が現れない。
やっぱり、最初に付き合う女の子はとびっきり可愛く僕が好きな子がいい!
僕は、そんな運命的な出会いを求めていた。
・・・そんな時。
僕のクラスに転校生として可愛らしい女の子が入ってきた。
彼女の名前は、青谷咲良 両親が仕事の都合で海外にいるらしい。
彼女は、祖父母の所に一時的に引っ越してきたんだと言っていた。
気さくで可愛らしい女の子。
僕は、初めて彼女を見た時から一目惚れしてしまう。
僕の人生の中で、初めての経験だった。
まさに!? 彼女は、“僕の運命の人”だと思ったんだ。
ただ、転校生で可愛らしい彼女を狙う男子も多かった。
そんな男子に人気の彼女が、何故なのか?
僕によく話しかけてくれた。
『あのさ~浅霧クンって? 好きな子とかいるの?』
『えぇ!? い、いや? まだ、いないかな?』
『どんな女の子がタイプ?』
『・・・えぇ!?』
『浅霧クンの好きな女の子が知りたいって言ったら、変だよね?』
『・・・い、いや? 別に変じゃないよ。』
『ただね、どんな女の子が浅霧クンは好きなのか、気になっただけなの!』
『えぇ!? な、なんで?』
『うーん? どうしてかな、私にも分からないわ。』
『・・・・・・』
『浅霧クンの好きな女の子が出来たら? 一番に私に教えてくれる?』
『・・・ううん。』
『じゃあー約束ね!』
『うん。』
この時の僕は、まだ照れくさくて青谷さんの事が好きだとは
言えなかった。
それに、どうして僕の好きな女の子が気になるのかも分からない。
ひょっとしたら? 彼女も僕の事が好きなのかな?
そんな事を僕は、妄想していた。
彼女が好きな男性も僕であってほしい。
まあ! 照れくさくてそんな事、絶対に彼女には聞けないけどね。
*
・・・彼女が転校してきて1ヶ月を過ぎた頃。
僕は夜、家の近くの公園に彼女から呼び出された。
あまりにも意外で、正直びっくりした。
彼女は、僕に何の話があるのだろう。
僕は、待ち合わせの時間に公園に着いた。
そこには、既に彼女が僕を待っていた。
『ごめん、遅くなったかな?』
『・・・ううん、私の方が早すぎたみたい。』
『僕に、こんな時間に二人で話って? なんなの?』
『・・・やっぱり、気になるよね?』
『そりゃ、そうじゃない!』
『実はね?』
『・・・ううん。』
『その前に、自動販売機で飲み物でも買わない?』
『あぁ、ううん。』
僕と彼女は、二人並んで公園の中にあった自動販売機で飲み物を買った。
『いいよ! 好きなモノ買って、僕が出すから!』
『あ、ありがとう!』
『うん。』
何気に、カッコいい所を僕は彼女に見せたかった。
ひょっとしたら? 彼女から僕への告白かもしれないからだ!
二人で飲み物を買い、先の場所に二人で戻った。
『じゃあー座って飲もうか!』
『うん。』
沈黙の中、僕達は買ったジュースを開けて飲み始める。
彼女は、緊張しているのか? まだ何も話さない。
僕も、彼女に告白されると思い黙っていた。
話を切り出したのは、彼女だった。
『・・・あのね?』
『うん!』
僕は息をのむ。
彼女が、遂に話し出した。
『ごめんね、こんな時間に呼び出したりなんかして。』
『ううん、気にしなくていいよ。』
『うん。』
『・・・・・・』
『あのね?』
『うん。』
『“私、未来から来たんだ!”』
『えぇ!?』
『浅霧クンは、未来の私のお父さんなんだよ!』
『・・・えぇ!? 何を言ってるの?』
『信じられないのも分かるよ! でも、本当の事なの!』
『・・・・・・』
『どうしても、私はお母さんに会ってみたかったの!』
『・・・青谷さんのお母さん?』
『うん! 私が産まれて直ぐに亡くなったらしいの!』
『・・・ううん、』
『記録には? この時代にお父さんはお母さんと初めて会ったんだって!』
『でも! 未来でも写真とか残ってないの?』
『・・・お父さんのは残ってるよ。』
『・・・・・・』
『私は一目でいいから、“お母さんに会って見たかったの!
でも、お父さんは今好きな女性もいないんだよね?”
じゃあ、相手は誰なの?』
『・・・“青谷さんだよ!”』
『えぇ!?』
『今! 僕が好きなのは青谷さん、君だ!』
『・・・えぇ!? それって、どういう事?』
『そんなの、僕にも分からないよ。』
『そんな、今の私がお父さんを好きになって、私を産んだの?』
『・・・・・・』
『・・・でも、そんな事が、可能なのかな?』
『君と僕が関係をもった後に、君が何らかの形で亡くなれば?
君が産まれてきても、不思議じゃないんじゃないのかな?』
『えぇ!?』
『魂は生まれ変わる。』
『・・・・・・』
『逆に今! 僕と君が関係をもたないと? 君は産まれてこれないん
じゃないのか!』
『浅霧クン、』
『そう、僕をお父さんと思うな! 今は、浅霧クンでいい。』
『・・・ううん。』
何を間違ったのか?
僕と青谷さんはあの後、“体の関係をもってしまう”
次の日の朝、青谷さんは二度と学校に来る事はなかった。
先生に青谷さんの事を聞いても【何も知らないし、そもそも青谷という
転校生はこのクラスに入ってきていない】と答えた。
クラスメートに聞いても、誰も“青谷さん”の事は知らない。
・・・僕以外は。
今は、こう思う! 彼女は僕の子を身ごもり何らかの形で亡くなり
僕の娘になったんだと。
今は、彼女が未来で僕を待っててくれると信じている。
最後までお読みいただきありがとうございます。