Ep.1-7「びりーばーというものたち」
呼び出されるは混沌。
世界を食らう混沌の口。
「ぬぎゃあ!?」
と、アーマー・ガイストが腰を抜かして倒れ、鎧がバラバラになる。
本気で驚いたらしい。こんな姿を見る事になるとは。
その時、聞き覚えのある声がした。
「おお!吾輩の要素、早速使用したんだね!そろそろだと思ったよ!」と、閉まっているはずの迷宮の入り口から意気揚々と一人入ってきた。
「…ト、なると貴方様がカオスですネ?」
「いかにも!吾輩がカオスだ。汝が教育係だね。この者についてはご存知かな?」と、まだ少し叫んでいる渦を指差す。
「否、私ハこの者ヲ始めて見マシタ。何者なのですか?コノ者は…。」
「よし、少し長くなるよ!」
と言うと大きく息を吸い、解説を始めた。
「その者は、“アーカム=アームズ”。青白い渦から沢山手が生えた姿が特徴的な【信仰者】の一人だね。
その【信仰者】は贄を捧げる役割を持っていて、その沢山の腕で渦の中に生物を引き込んで自らの力にして成長するんだ。
しかし、味方を引き込んじゃいけない。だから彼らは主とその仲間を明確に判断する事ができるんだ。
そして、彼らが力尽きた時だけど…彼らは最期に自ら諸共贄として捧げ、その場に邪神を呼び出すんだ。これは贄の質や量に応じて格が上がるよ。
でも、例え汝が主だとしても…その邪神の姿。見ないほうがいいと思う。」
今さらっと恐ろしい事を言っていた気がする。
それに感づいたのか、エルジストは怪訝な顔になる。
「邪神…トハ、何でしょうか?」
「まさか汝ら、そんな事も知らずに吾輩を頼っていたのか…?でも、仕方ないよね。今回は説明してあげよう!」
と、また大きく息を吸い込む。
そして、大袈裟な身振り手振りで説明をはじめた。
「この世界には嘗て、“プロエリウム”と呼ばれる闘いの神を祀る宗教があったんだ。
この宗教は長く続いていたが、ある時一部の者が異を唱え始めた。「闘いによって立てられた世界などあってはならない」とね。
そして、その者共はその力を削ぐ為に長い時をかけて対峙する神を探した。しかし、数百年探してもそんな神は存在しなかったんだ。
だから自分達を贄にして、創造する事にしたんだ。この頃には彼らは、狂人になっていたそうだ。
そして"調停の神"として喚び出された神は"異形の邪神"だった。
見たものがどんなに勇敢であろうとその神を見た途端恐怖が大幅に上回り狂人となり、果てには廃人と化すような…そんな神だったらしい。
そして、贄となった人々だけど…彼らも異形となった。邪神にとって、その姿を見ても耐えうる…最もいい方法だったのかもしれない。
ともかく、それによって闘いの神を祀る宗教は壊滅した。それと同時に、邪神とその贄も姿を消した。
彼らは今も、世界の最果て、“ルルイエ”で過ごしているという。」
「そんな話が…じゃあ、まさか貴方の要素、[混沌]の力って…」
カオスが軽く溜息をつく。そして、口を開いた。
「お察しの通りだと思う。吾輩の要素はその贄を合わせられた要素に最も近い形の物を喚び出すものだ。
故に、吾輩の迷宮を訪れるのは人のみならず多くの主からも"禁忌"とか"究極の肝試し"とか、人によっては"神に対する冒涜"とまで言われる、汝は、ま…この辺りを知っていたなら来ていなかった、だろう?」
何かを言いかけたが、グレイスの表情を見て言い直したらしい。
グレイスは、気になって仕方がなかった。
「どうして、カオスさんは…色々な事を理解してるんですか?」
「いずれ、わかる日が来るさ!ハッハッハッハ…!」
少し、うやむやにして彼は帰ってしまった。
閉じているはずの迷宮の入り口を開けて。
なんかかおすくんちゅうしんになっちゃいました。
閑話みたいなかんじにみてくれるとありがたいなあ。
ちょこっとインスピレーションが落ちているから、う~んってかんじではあります。
なにか一言もらえると、よろこぶかもよ。