Ep. 1-4「まもるものをつくるもの」
一人になった恩恵。
すぐ戻ってくるだろうが、一人ただ心配する。
「他の要素に…頼る…?」
一人になったグレイスは首をかしげる。
何か弊害が起きそうな気もするからだ。
自分を構成する要素が入っていなければ言うことを聞かない…そんな気がする。
その時、迷宮からなんとなく伝わってくる。
「お前の要素さえ入っていればいいんだよ」
そして、普通の人間が両手で持つサイズの箱を片手に持ったエルジストが戻ってきた。
「貴方ノ要素を他ノ要素と合ワセ、新しい使役者ヲ創り出スのデス。」
「…でも、僕は他の要素は持っていないよ?」
「三つ迄、合ワセられマス。残りはコチラで用意致シマスので。」
そう言いながら、彼は箱から二本の要素瓶を取り出した。
「[群体]と、[武王]デス。[恩恵]ト同時に埋メテみて下サイ。」
グレイスは言われた通りに埋め、エルジストに問いかける。
「この組み合わせに何か心当たりがあるの?」
「アリマセン。勘です。」
「勘なんかで大丈夫なの?」
「一部ノ組み合ワセでも無イ限りは、基本ハ問題ありません。」
「というかさっきの瓶何処から出して来たの…?」
「先代の遺品デス。」
そして、先程のリペア・ミックよりも長い時間をかけ地面から人間ほどのサイズの鎧の男が四人、地面から這い出てくるや否やこちらを向いて敬礼した。
それぞれ動きに全く乱れは無く、一体感を感じる。
「この者達ハ…リビング・デッド?」
それを聞いた鎧の男達が次々に答えた。
「ゴーレムの旦那!違いやすゼ!」
「あっしらはアーマー・ガイスト!」
「あっしらの近くで誰も持っていない物であれば、如何なる物でもあっしらの物同然に牙をむきやすゼ!」
「鎧は仮初の姿!あっしらは何度でも立ち上がりやすゼ!」
それを聞いたエルジストは、頭を抱えてうずくまった。
「主、最初のウチに喚ブべきデハ無い者ヲ喚んでシマイました…」
「え?どういうこと…?」
「彼…いや、彼ラの本体はフロア全体に広ガッテイルようなモノ…不滅ノ存在です。本来コノヨウナ者は聖ナル武具でしか対処出来ナイのデスが…言い分ヲ聞くニ、聖や破邪といったモノに、強イ耐性を持ッテいます…所謂、初見殺シ等と呼バレル者。」
「察しが良いですゼ!ゴーレムの旦那!」
「本来、あっしらは[群体]と[武王]があれば確率で発生するんですゼ。」
「そして、生成に不要な要素はボーナスとして、能力に振り分けられやすゼ!」
「つまり!あっしらの創造に不要だった[恩恵]は何かしらの聖なる物として機能しているみたいですゼ!」
言っていること自体は本当のようだ。
四人のうちの一人が持つ剣は紛れもなく聖剣そのものなのだから。
そして、彼のいるフロアは清々しい空気が漂い、気分がいい。
恐らく彼自身に回復能力があるのだろう。
しかし…
「何かしらって…何かはわかっていないの?」
「「「「う〜ん、いまいち!」」」」
だめだこりゃ。
でもかなり頼りになる戦力であることは理解したようで、
「そんなに強い者がいるなら、もう開けるんじゃないの…?」
と言った途端、二体とも振り向いた。
「主殿ォ、いけませんゼ。」
「あっしらは救急箱やんとは違って強力な分、迷宮からの出現数が少ないんですゼ。」
「なんで、もう少々!他の仲間を喚んで欲しいところですゼ!」
「あっしらだけで迷宮を守るなら、後武具が五十組は欲しいところですゼ!」
「ご、五十…!?」
「武具は人やドワーフ、エルフやウルフガイと言った文化を築いている者でも無い限りは作れないですゼ!」
「迷宮内で生産するなら鉱脈が無いと厳しいですゼ。」
「後、最奥デ待ち構エテ敵対生物を討伐スル為の“強者”モ必要です。」
「エルジストは…?」
「タダの教育係トして作ラレタ存在でアル為、その役目ハ全う出来ナイです。仮ニしたトしても私ハただ守ル為の存在。攻メルことガ出来ナイので…。」
「討伐は出来ないんだ…。」
「にゃーん!」
気がついたら、地面からまた白い箱が出てきた。
使役者によっては一定数に達するまでは時間をおいて勝手に出てくるらしい。
「じゃあ、どうしようか…?」
「周辺ノ迷宮に挨拶周リに行ッテ、協力をオ願いシテみては如何デショウ。」
「でしたら、あっしらがお供致しやしょう!文字通りの百人力になりやしょうゼ!」
「ああ、助かるよ…じゃあちょっと行ってこようかな…エルジストはこれ以上要素は持ってないの?」
「あまり甘ヤカシテはナラない、ト先代に言ワレましたノデ。」
楽はさせてくれないらしい。教育係なりにしっかりしている…。
「では、少し行きやしょう!少し長い散歩にはなりやしょうが、あっしらがいる限りは外を徘徊する輩には傷一本つけさせやせんゼ!」
「うん、行こうか!」
こうして、初めて迷宮の外に出ることになった。
迷宮の門の前まで前に立つと、勝手に開いた。
すると、そこには…
「あっ…?」
「えっ?」
「何奴?」
一人の男性が立っていた。。
どうも、めるとめろんです!
いたらぬてんがあるかもしれないので・・・
きになったときはひとこと!おねがいします。