EP.1-2「せいねんのものがたり」
邂逅。
偶然か、必然か…。
目前の圧倒的な存在感。
多くの人間が伝説の存在であると思い込んでいる、そのクラスのゴーレムが目の前にいるのだ。
跪いて尚、その姿には特有の威圧感を覚える。
青年が口を開かず身構えていると、ゴーレムが地面を指差しながら口を開く。
「…言イ方が、悪かったミタイです。此処ト、意思疎通が可能デスか?」
彼は困惑する。
思考ベースは人である為、やや理解が追いついていない。
普通の人なら、同じ人間にそう問われた時には「ナニイッテンノオマエ…?」と聞き返すことだろう。
もっとも、相手が規格外なので、そうも行かないだろうが…。
しかし、そこに救いの手が差し伸べられる。
迷宮から伝わってきたのだ。
出来てるだろ!!!!!!いい加減にしろ!!!!!!!!
と。
なんかすっごい怒られた。と、むすっとした表情になる。
そして、
あとそのゴーレムは敵ではない、安心するんだ
と、続けて伝わってきた。
そういうことは最初に言ってくれよ!と、さらにむすっとする。
「…何カ申し訳ナイ事をシテしまったミタイですね…申し訳ナイです。」
「い、いや、僕も警戒しすぎてたみたいだから…ごめんなさい。」
「頭ヲ垂れナイで、胸を張ッテ下サイ。先ほどノ状況、構えナイ方が不自然デス…。」
よく考えたら当たり前である。
伝説の存在が突如目の前に出てきた時、立ち尽くすか構えるかの二択だろう。
「私ハ、エルジスト。しがない「ゴーレム」の一体デス。造ラレテ以降、此処の主の側ニ仕え続ケテおりマス。」
「僕は…まだ名前もないからなあ。よろしくお願いするよ、エルジスト。」
「主とナッタ者はミナ、そう申し上ゲテおりマシタ。[要素]を元ニ名前を決メル者が多イ様です。」
「[要素]…か。念じればどこかにビンが出てくる位にしか聞いてないんだけど…」
[要素]。
この世界における迷宮は、どこも主の濃厚な力が詰まった[要素]ありきで成り立っている。
シンプルなものであれば、屈強な力を持った者を創造できたり、
特殊なものであれば、組み込むとその要素に関与する者以外を創造できなくなったり。
一部の要素は人に対し恩恵がある為、迷宮そのものが狙われたりもするのだ。
この要素によって使役するものを作成し、迷宮を守る、というのが定石である。
…の部分までは教えてくれるそうなのだが、あとは「主が念じればどこかに出てくる」くらいなものらしい。
主が人以外のこともあるそうなので道理なのかもしれない。
「…せっかくだし、一度念じてみよう。迷宮もさっさと開きたいみたいだし…」
はっはっは、話が分かる青年で嬉しいぞ、といわれた気がする。
その為に呼ばれたのは分かっているが、複雑な気分だ。
彼が念じると、ポケットに何かが入っている感触がした。
取り出してみると、そこには普通の人間ではまず読むことが出来ない文字が書かれていた。
とりあえず、とエルジストにそれを手渡す。
それを見たエルジストは三つある目を細め、一言告げた。
「[恩恵]…[恩恵]デスか…コノ迷宮の主ハ支援要素しか生成デキない呪イでも受ケテイルのでしょうカ?」
「…悪いことなの?」
「いえ、効果コソは良イのデス。支援要素ハ大抵何かしら、人ニモ有益な効果ガありマス。故に、人間から狙ワレ易い要素とナッテいマス。」
「えっ…大丈夫かな僕…?」
「…と、イウのは[覚醒]ノ主の受ケ売りデス。」
「…迷宮から「ニンゲンは危ないやつらだ」って意思がすごく伝わってくるけど…その主はどう対処したんだろう…?」
「潜在能力ヲ引き出ス要素だったノデ、既に引キ出しキッテそれ以上ノ成長ガ見ラレない交渉人ニ使い、効果が無イと勘違いサセタそうデス。その迷宮の主の種族はアウステリオスだそうで、マトモに交渉ニ乗ればソノうち殺サレルのではナイかとノ警戒した結果トノこと。」
「う~ん、立場はわきまえて、か…ところで、要素の内容は…?」
「士気向上、能力上昇、援軍ナド、何かしらノ支援能力を対象が得マス。所謂、単体では役ニ立たナイとか言ワレルたいぷデス。」
ここまでは良かった。
「料理に混ゼルと、味ヲ改善した上デ、栄養豊富ニ。
土地に撒ケバ、地質改善ニ。
ポーションに混ゼ込めば、効果の増幅ニ…」
あれ?人に狙われる要素満点じゃないか?
めるとめろん、と申します!
まだお話がひらかないところでごめんなさい〜。
でも、おもしろく、かんがいぶかく書けるようにがんばっていきたいとおもいます!
でもでも!至らぬ点がかもしれません〜。
なにか、かんじたら一言、くれたらうれしいです〜。