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【第二章】第四十三話

「あたしはお母さんを救えなかった。しかもたくさんの歯周病抜け殻を倒して、人生を奪っちゃった。もう生きていけない。いや罪を償わないといけない。ならば、こうするよ。」


「ちょっとお待ちなさい山場さん!」


『やめろヤマンバ!命を粗末にするものじゃないじゃん!』


「いやこれはオペを使うことが他人の未来を失わせることがわかった時に、もう決めていたことなんだよ。ゴメンね、牙狼院さん、きゅうりさん。」


「山場さん~!!!「「ヤマンバ~!!!」


『ズバッ!』


花子は針が猛回転している大ドリルで首を切り落とした。切り口から血が噴出しないという実にキレイな死に方であった。


『コロコロ。』


花子の口から歯が出て、しばらく転がっていたが、やがて動きを停止した。

転がった花子の歯はしばらくすると色づいて、青い歯になった。


『ヤマンバはこれで進級できたじゃん。魔法歯医者自身が青い歯になること、それが魔法歯医者の進級通知。青い歯になるためには、オペができることは必要条件。死ぬことが十分条件じゃん。ヤマンバは見事にそれを成し遂げたワケじゃん。』


「そうですわ。無論進級するには、診療報酬をたくさん稼いで青い歯を増やすということはありますけど。山場さんは手っ取り早い方法を意図せずして選択したということですわね。あとは、彼女の願いをこちらで叶えてあげましょう。これはワタクシが届けましょう。」


「いや一緒に行くじゃん。」


木憂華は人間型に戻っていた。

絵梨奈も木憂華も何事もなかったかのように、落ち着いている。


「おっと、それは青い歯を無くした私がもらいたいんだが。」


 歯を無くしても、喋ることは普通にできる。それが魔法の力でもある。


「欲張りはダメじゃん。青い歯を失ったアイラは、いちから集めるのが校則じゃん。Qなんか、まだ二本しか集めてないじゃん。」


木憂華は口を大きく開けて上顎の青い奥歯を見せた。


「きゅうりちゃん、贅沢言わないでくださる?ワタクシなど、まだ一本しかないんですから。」


絵梨奈が肉感的な唇の奥を開くと、下の奥から二番目に青い歯が居座っていた。


「じゃあ、ヤマンバ、いや新品の青い歯を、母親の元へお返しに参上するじゃん、三人で。」


こうして、絵梨奈、木憂華、アイラはヤマンバの里へ歯ブラシに乗って行った。


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