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【第二章】第三十五話

「よくわからないけど、きゅうりさんは無事復活、いや別に死んではいないし、時間が経てば元に戻るから何も問題ないってこと?」


『結論だけ言えばそういうこと。だから、ヤマンバは、自分がやるべきことに目を向けるべきじゃん。』


「あたしがやるべきこと?そ、そうだよ。クロボーをおびき寄せたのは、青い歯を奪うことだったよ!」


 花子は動く気配のないクロボーに視線をやった。花子の瞳が曇ってきた。


『どうしたハナゴン。早く、青い歯を抜いてしまえばいいじゃん。』


「でも歯を抜いてしまうと、記憶という人生を消し去ってしまうんじゃ。」


 花子は眉間に深いシワを寄せたが、パンパンと顔を叩いた。


「そういう迷いは捨て去っているんだから、やってやるよ!」


 花子は少しずつ足を動かして、クロボーの方に向かって行く。目を瞑ったままである。


『そうじゃん。それで一気に決着をつけるじゃん。』


「青い歯を抜く前に、顔を出さないと。」


 花子は黒い帽子をそっと取った。

 バサッとショートカットの青い髪が流れるように出てきた。

 その瞬間、花子は固まり、代わりに木憂華が注射器から声を発した。



『ア、アイラじゃん?』


「アイラ?青い髪の女子なの?でも歯の色が違うような?まさか、この前はお歯黒ならぬ『お歯白』にしていたとか?それって、ホワイトニングかな?」


「・・・。」


 クロボーは目を開いたが、言葉を紡ぐことはなかった。


『アイラ、どうしてここにいるじゃん?それにその姿とオペはまるで歯周病モンスターそのものじゃん!』


「・・・。」


 やはり口を開けないクロボー。しかし、木憂華たちの方を向いており、反応を示しているのはわかる。


『何も言わないのなら、やることやるしかないじゃん。ヤマンバ、ひと思いに歯を抜くじゃん。それでミッション完了じゃん。』


「うっ。わ、わかってるよ。まずは変身。」


 ナタを虫歯に当てて、大ドリルを出したハナゴン。


『さあ、一気にやってしまえば、痛みも少ないだろうじゃん。ほらほら。』


 手招きして、抜歯オペを勧奨する木憂華。注射器の姿のため、太い針先から液体を出しているのが、勧奨ポーズである。


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