【第二章】第三十三話
『ドン、バシャン。』『ドン、バシャン。』
木憂華とクロボーが赤い池にうつ伏せに倒れた。
「やってしまった。この俺が、この手がメス蚊アマを破壊し、殺してしまったぞ~。うわああああ。」
スローモーションのように、膝から崩れて、頭を抱えるハナゴン。
『ごそ、ごそ、ごそ。』
「どっこいしょっと。あ~、狭かったですわ。中はすごく臭いし、たまりませんでしたわ。外の空気がこれほどおいしいとは、改めて自然のありがたさを痛感しましたわ。」
「や、焼肉女!復活したんだ。良かった!うわあああ~。」
ハナゴンは脇目も振らず、絵梨奈に抱きついて、豊満な胸に顔をマーキングしている。
「ハナゴンさん、お止めなさい。こんなところを人に見られたら、ユリ族と間違えられますわ。あは~ん。」
胸部摩擦で、快感を覚えている絵梨奈。
「袋詰めにされて大変だっただろう。元に戻れて本当に良かった。うえ~ん。」
「ハナゴンさんの泣き顔。それもこんな至近距離で。催してしまいますわ!萌へ、萌へ、萌へ~!」
またも陶酔絵梨奈が生まれ堕ちた。
ひとしきり抱き合って、ようやく落ち着いたハナゴン。
「そ、そうだった。俺は人、いやヤマンバの道を外れてしまった。仲間を傷つけただけでなく、亡き者にするなんて、もう生きていけない。」
お腹から真っ赤に染まった木憂華の死体には、目をやることができないハナゴン。ただ、俯いて涙するだけだった。
絵梨奈は、木憂華の隣で動かなくなっているクロボーを見た。
「何があったかは、だいたい理解してますわ。袋の中でも声や音は聞こえてましたから。」
「だったら、俺がこれから前に進んでいく資格がないことはわかるだろう。いったいどうすればいい。罪は償っても死んだ者は生き返らないぞ。」
「たしかに死者は蘇ることはありませんわ。魔法歯医者のオペにもそのような治療はありませんわ。」
「じゃあ、こっちも死んで詫びるしかないな。」
ハナゴンは回転する大ドリルを自分の首に当てた。
「あばよ、焼肉女。冥土でメス蚊アマに会ったら、メールするからな。」
『ドバッ!バタン。』
ハナゴンは大ドリルを動かすことなく、持ったままで、森の地に臥した。




