【第二章】第二十六話
「絵梨奈、すごくヤバそうじゃ~んですわ~。Qみたいにしっかりしないとじゃんですわ~。」
木憂華の言葉が怪しくなってきた。一方、貴族出身つまりお嬢様という言葉が現実味を帯びてきた。
「そんなことありませんわぁ。ハナゴンさんが泣いているように見えますわぁ。泣き顔、かわいいですわぁ。ぺろ、ぺろ、ぺろ、萌へ、萌へ、萌へ~。」
絵梨奈は変身していない花子の右ほっぺを舐めてきた。
「な、何するのよ。」
絵梨奈に絡まれて花子は怒っている。花子はハナゴンに変身していないが、陶酔した絵梨奈にはハナゴンに見えているらしい。
「あたしは花子であって、ハナゴンじゃないんだよ!」
今度は木憂華が左ほっぺを舐めてきた。
「いやいや、ハナゴンじゃんですわ~。怒ってる顔、萌ふぇ~、萌ふぇ~、萌ふぇ~。」
変則的お嬢様言葉を連発する木憂華は、花子に萌えてきた。
両サイドからの頬舐め、陶酔責めに、収集がつかなくなった。
「ハナゴンはワタクシと一緒に生肉を食べるんですわぁ。」
「ハナゴンはQが血を吸うじゃんですわ~。それも口からじゃんですわ~。」
ふたりは花子を巡ってケンカを始めた。横向の花子を真ん中に置いて、向かい合い、右手を上げて、ボクシングのクロスカウンター!と思いきや、それぞれの腕は、花子の首に回り、花子の無垢な唇に迫っていた。
「やめてよ~!」
悲鳴を上げる花子を見て、絵梨奈たちはメス顔になった。
「ハナゴンさんが泣いてますわぁ。もっともっと慟哭してほしいですわぁ。もっと泣けわめけですわぁ!」
陶酔絵梨奈に歯止めがかからない。
「ハナゴン、怒れ、怒れじゃんですわ~!大魔神になれじゃんですわ~!」
陶酔木憂華も煽動者と化している。
「痛いよ!」
「痛いですわぁ!」
「痛いじゃんですわ~。」
クロスカウンターは花子の首を絞めて、摩擦を起こし、首と腕からは出血してきた。
突然、『ガサガサ』という音が聞こえた。
「何か来たよ。野獣かな?」
「そうではないじゃん。」
出血して、陶酔からノーマルモードに回帰した木憂華。絵梨奈も同様である。




