【第章】第三話
「おっさんなのに走れるって、憲法違反じゃね?痛いっ!」
ハナゴンは木憂華に向かって倒れた。
「おい、ヤマンバ。大丈夫かじゃん?」
「頭の下が柔らかくて気持ちいいなあ。」
「おいおい、そろそろ膝が痺れてきてるじゃん。」
「あっ!これって、膝枕!?ご、ごめんなさい。」
慌てて体を起こしたのはハナゴンではなく花子であった。
「たしか、あたしはおっさんの体当たりを喰らってそのまま倒れた?」
「そういうことじゃん。おっさん、いや歯周病モンスターの魔法攻撃にやられたということじゃん。」
「タダの体当たりにあたしがやられたってこと?」
「ヤマンバの体はかなり強いじゃん。フツー物理攻撃ではやられたりしないじゃん。でも魔法攻撃なら話は別じゃん。」
「それが歯周病モンスターの魔法攻撃ってこと?」
「そういうことじゃん。そんな無駄話しているうちに次が来るじゃん。って、もう来てしまったじゃん。」
「グワッ。」
花子は路傍の石として転がった。
「ううう。あれ?ここはどこ?あたしはいったい。」
花子はベッドから背中を起こした。
「やっと目が覚めたじゃん。ここは歯医者の穴じゃん。ヤマンバは、歯周病モンスターのヤニ攻撃にやられたじゃん。」
「あっ。たしか、おっさんの体から何かが出てきて、直後に意識が飛んで。」
「そう、おっさんの攻撃、通称オペに、じゃん。」
「オペって?」
「魔法のことをそう呼ぶじゃん。」
「オペは、通常の攻撃とは全然威力が違ったし、防御できなかったよ。」
「それは当たり前じゃん。とにかくヤマンバはこのままじゃ、歯周病モンスターにやられて、汚い血液をぶちまけて野垂れ死んでしまうという補習を受けるだけになるじゃん。」
「そんな補習受けたくないよ。オペのことを教えてよ!」
「タダではダメじゃん。たらり。」
木憂華の口の端から、透明で粘りっ気の強い液体が垂れていく。さらに視線が花子のふくよかな胸元にねっとりと張り付いている。
「ま、まさか、あたしの体が目的?」
慌てて胸を隠す花子。しかし腕からは柔らかな部分の多くがはみ出している。
「狙いはここだね?まだ誰にも触れられたことないのに。それをこんな女に。これはあの子に取っておかないいけないのに。」
「あの子?」
「い、いや何でもないよ。し、仕方ない。ううう。あたしの初めてが!」
「じゃあ、いくじゃん。ガキッ。」
木憂華は、花子の虫歯に注射器を刺した。




