【第一章】第三十五話
木憂華は小柄な体を、やや大きいアイラの体に預けて、幼児のようにスリスリしている。
「・・・!」
アイラの姿を見て、アミラと呼ばれた黒い帽子の女子は、僅かに瞳を動かして、絵梨奈を伴っていずこかへ消え去った。
「た、助かったあ!」
ほぼ戦闘不能だったハナゴンは、ヘナヘナと膝から崩れて、そのまま気を失った。
「う、う、う。ここはどこ?・・・って、あたしの部屋じゃない。ひどいケガをした夢を見たような気がする。」
ベッドに寝ている花子。隣のベッドには木憂華が座っていた。
「やっと気が付いたじゃん。ひどいケガだったじゃん。でも復活できてよかったじゃん。」
「あ、あなたはきゅうりさん!?」
「その名で呼ぶな!きゅうりちゃんじゃないだけ、ほんの少しだけマシだけどじゃん。」
「本名は茎宮さんだったかな。茎ときゅうりって存在がなんとなく近いし。本名よりも呼びやすいし。・・・そういう問題じゃないよ。ここはあたしと牙狼院さんの部屋だよ。どうしてきゅうりさんがここにいるんだよ?」
「倒れたヤマンバをQがここまで運んできてやったじゃん。大感謝すべきじゃん。」
「さっきの夢は現実だったんだ。助けてくれてありがとう。もしかして、ケガも治してくれたのかな?」
「そういうことじゃん。大変だったじゃん。だから、当分の間、ここに住まわせてもらうじゃん。」
「そんないきなりそんなこと言われても。ここは牙狼院さんと同室・・・。そ、そうだよ。牙狼院さんを助けに行かないと!」
「そう、そこに行きつくじゃん。ここから絵梨奈がいなくなってしまったじゃん。そのためにQはここに来たじゃん。」
「ということは、あたしと協力して、牙狼院さんを探してくれるの?」
花子は祈るようなポーズで、上目遣いで木憂華を見つめる。その視線に耐え兼ねたのか、木憂華はプイッと目を逸らした。
「し、仕方ないじゃん。こっちにもいろいろと事情があるじゃん。一緒に戦う時のヤマンバがいいっていうか。」
「戦う時?がどうしたんだよ?」
「な、なんでもないじゃん。ほっといて、じゃん。」
「変なの?そうだよ。この前、牙狼院さんの居場所を血液で見つけたよね。だから、今でもすぐにわかるんだよね?」
「そいつは無理な相談じゃん。あの時の血液はすでになくなってるじゃん。だから、リサーチ不能じゃん。」
「ええ?そんなあ!じゃあ、あたしたちはいったいどうすればいいんだよ。」
「それをこれから考えるじゃん。」




