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【第一章】第三十話

ホッとして口を開いたハナゴンの虫歯に付着した血液に指をつけた木憂華。


木憂華はその血をうまそうに舐めた。それは『針ポッター』をやっていた時に、付いた絵梨奈の血液だった。


「汚い!」


「騒ぐなじゃん。」


「血は専門。血をなめたらなんでもわかる。この血の匂いの方角はこっちじゃん。」


「じゃあ、歯ブラシに乗るじゃん。」


「またこれに乗らなきゃいけないのか。スゴくカッコ悪いのに。」


プンスカやっているハナゴンをじっと見つめている木憂華。


「怒ってる顔がかわいいじゃん!萌ふぇ~!」


木憂華の瞳が右上と左下に乖離した。


「乗りたくはないけど、焼肉女は同室だし、死なれたら気分が悪いから、探しに行くぞ。」「わかってるじゃん。」

ふたりは歯ブラシに跨がって、追跡飛行を開始した。




数十分後、歯ブラシを降りたふたり。


大きな古い建物が目の前に聳えている。郊外の廃校跡にいるのである。


「ここにあの血液の息づかいを感じるじゃん。」


「血液の息づかいだと?」


「そう。今にも死にそうな汚れた子じゃん。助けてあげたいぐらいじゃん。でも助けたらいただく、いや、なんでもないじゃん。」


「この建物って、昔の学校みたいだぞ。」


「そのようじゃん。悪の隠れ家にふさわしいじゃん。」


ドアが壊れているので、ハナゴンたちはそのまま乱入した。すぐ右手に事務室があった。当然そこに人はいなかった。


「こっちに行くじゃん。」


「いちいち命令されるのは癪なんだけどな。」


眉間にシワを寄せたハナゴン。それを見た木憂華の頬がとろけた。


「その深いシワ、ステキじゃん。萌ふぇ~!萌ふぇ~!」


「いったいなんなんだよ。俺が美少女なのは当然だけど、シワに萌えるとか、気持ち悪いぞ。」


さらに深さを増したハナゴンの額。


「に、日本海溝じゃん。萌ふぇ~!萌ふぇ~!萌ふぇ~!」


ついに萌え尽きた木憂華。


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