【第一章】第一話
「魔法歯医者学校に行くなんていやだあ～！」
泣き叫ぶショートカットの茶髪女子。やや丸い顔に合わせたような大きな鳶色の瞳は本来愛くるしいハズだが、波目になるぐらい歪めている。眉毛はしっかりとして、やや太い感じである。鼻と耳は大きめで、唇と頬はリンゴのように真っ赤である。茶色のワンピースを着ているが、胸の部分は、かなりエキサイティングな盛り上がり方を誇っている。
茶髪少女の腕を取って連れて行こうとするのは、高身長のスーツ姿の男がメガネを光らせる。
「山場花子さん。知っての通り、君のお母さんの歯はウイルスに冒されて、このままでは長くない。もはや青い歯と取り替えるしかないんだ。しかし、青い歯はものすごく高価で、ここヤマンバの里では、とても治療なんてできないよ。お母さんの延命治療をするのが精一杯なんだよ。」
「だから、あたしは延命治療費用の代わりに、魔法歯医者学校に売られたっていうことなんだよね？」
茶髪少女花子の言葉を聞いて、メガネ男はニヤリとして、イケメン特有のこれでもかっていうぐらいの、真っ白な歯を見せた。
「う～ん、大正解だねえ。よくわかってくれてて、来た甲斐があったよ。でも売られたというだけでなく、メリットもあるんだよ。魔法歯医者になって、青い歯を持つ女子を探すといい。その青い歯があればお母さんを治すことができるんだよ。青い歯を持つ女子は、髪と瞳も同じく青いらしいから見つけやすいよ。ふふん。」
「でも魔法歯医者少女って、魔法を使う時、自分の虫歯を突っつくってウワサなんだけど。」
「安心してくれていいよ。そんなことはないさ。」
「そ、そうなの？じゃ、じゃあ、魔法を使う時、痛くしないんだね？」
「そうだよ。虫歯を突っつくなんて、誰がそんなウソをついたんだろうなあ。ご心配には及ばないよ。」
「あ～。良かった！」
「突っつくんじゃなく、ドリルを突っ込んでグリグリするんですよ、気絶しそうになるぐらいにね。ニタニタ。」
「や、やめて～。そ、そんな、痛いのなんて、大っ嫌いなんだよ～。」
「痛いのが好きな人なんていないよ。ほらほら、痛くなる、痛くなる、ドリルでキュイ～ン！気持ちいいかもだよ？」
「キャー！いた～い、という連想だけでも、そんなことされたら～！」
歯を触られてもいない花子は、ヤマンバ里トップレベルの巨乳を揺らしながら、気絶してしまった。
