【第一章】第十五話
「精神を、魔法を使う部位に集中することですわ。
「よくわからないんだけど。」
「あとは実戦で習得してくださいな。山場さん、腰に武具を付けていらっしゃいますわよね。」
「このナタのこと?」
「そうですわ。それに魔法をかけて使うことができるはずですわ。」
「ナタに魔法をかけるって、さっきの歯ブラシと同じ方法?」
花子の額から脂汗が流れ落ちた。
「そういうことですわ。ナタも魔法の宝器ということですわ。」
「つ、つまり、口の中に、ゆっくりと優しく差し入れする?」
「いえいえ、強烈かつ強引に突っ込むことですわ。成長するには痛みを伴うということですわ。」
「それ、ファイナルアンサー?」
「はいですわ♥」
満面の笑みの絵梨奈。何事かを期待している目である。
「い、い、いやだあ~!と言った方がいいんだよね?」
「しっかりやらないとダメですわよ。ウフフフ。」
絵梨奈の唇は波を描いていた。花子も嫌がっているのか、そうでないのか、不思議な表情である。
「ううう。し、仕方ないかなあ。これをやらないと、歯垢獣を倒すことなんてできない気がするし。」
花子はナタをまさに腫れ物にでも触るように、恐る恐る口に持って行った。そのまま、そーっと虫歯に当てた瞬間、飛び上がった花子。
「痛~い!なんて生易しいものじゃない!・・・でも、き、気持ちいい~!」
「やりましたわ、山場さん!」
花子と絵梨奈が違うベクトルで声を出した。それと同時に、花子のナタは身長を超えるような巨大なドリルに変わっていた。歯医者で使われている、円筒形の先端から鋭い針が横についているドリルである。
「これ、どうやって使ったらいいの?物理攻撃に使う武器ですから、手に持って振り回しなさい。」
「こうかな?」
花子は片手で持ち上げようとするが、大ドリルの重量に煽られて体は左右にふらついている。




